クラシック音楽 日本の歌


バックナンバー 2016年7月04日

2016年7月04日

♪ 浪漫街道 堀口博雄と東京軽音楽倶楽部 小さな喫茶店


堀口博雄

小さな喫茶店
或る雨の午后
ダイナ
山の人気者
すみれの花咲く頃
私の青空
宵待草
さすらいの唄
一杯のコーヒーから
アラビアの唄
月の砂漠
峠の我が家
琵琶湖周航の歌
籠の鳥
恋はやさしい野辺の花よ
夜のバイオリン

演奏:堀口博雄と東京軽音楽倶楽部

      堀口博雄(リーダー/バイオリン他)
      林あきら(ドラムス/パーカッション)
      山内喜美子(京琴)
      鳥井勉(アコーディオン)
      野口武義(ドブロ/バンジョー他)
      斉藤功(ギター)
      寺川正典(ベース)
      佐伯亮(編曲/マンドリン他)

ジャケット:高畠華宵(「少女画報」昭和3年10月号表紙より<弥生美術館蔵>)

発売:1992年8月21日

CD:日本コロムビア COCS‐10156

 日本人の特質は何かと問われると、多くの人が礼儀正しさや勤勉さなどを挙げると思うが、最大の特質は、外国から来るあらゆるものを受け入れ、自分のものに昇華し、一つの文化を形成することだろう。例えば、漢字文化を取り入れ、そこからひらがな、カタカナを創作し、日本の風土に合う文字文化をつくりあげる、などはその典型的事例だ。寺院の様式も本家の中国とは大分趣がことなり、日本にしかない寺院様式を創造してきた。そんな日本文化の特徴は、第二次世界大戦後の復興期に如何なく発揮された。今度は、本家は中国ではなく、欧米であり、なかんずく米国の文化だ。音楽の世界も例外なく、米国の音楽文化が一挙に日本に流れ込んできた。ジャズ、ロック、ポピュラーミュージック・・・こんなにも日本人は米国生まれの音楽が好きだったかと、びっくりさせられたほどだ。このCD「浪漫街道 堀口博雄と東京軽音楽倶楽部 小さな喫茶店」は、日本の琴の音が強烈な印象をリスナーに与える一方では、バイオリンをはじめ、アコーディオン、ギター、マンドリンなの西欧音楽発祥の楽器の音が巧みにかみ合い、何とも言えないノスタルジックな世界を創造することに成功している。これは、正に日本人でなければつくり出せない、独特の音楽文化であることは疑いのないことだ。取り上げられている曲自体も、日本人の作曲した曲とアメリカ民謡など欧米の作品が混在しているにも関わらず、全体として、そこには何となく日本的な統一感が生まれていることも不思議といえば不思議なことだ。このような音楽は、絶滅危惧種の音楽として消滅しつつあると思いきや、現在アマゾンなどから手軽に購入できるようだ。意外に堀口博雄と東京軽音楽倶楽部による独創的な音づくりは、平成の世相に合うかもしれない。事情が許す方は一聴を。(蔵 志津久)

コメント/トラックバック投稿 »