クラシック音楽 音楽の泉


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2010年12月24日

♪ 平原綾香が自ら作詞したベートーヴェンの第9の第3楽章の歌「LOVE STORY」がテレビ初公開されて思うこと 


 

 ホルストの「惑星」をカバーしたデビュー曲「ジュピター」で一躍スターの座を射止めた平原綾香が、今回、何とベートーヴェンの第9交響曲の第3楽章に自ら歌詞をつけた世界初の歌「LOVE STORY」を歌った模様が、このほどテレビで初公開された。

 実際に平原綾香が歌ったのは、一般公募で参加した1万人の合唱団が、プロの歌手とともにベートーヴェンの「交響曲第9番」を歌い上げる、今年で28回目を迎える大阪の師走恒例の大規模コンサート「サントリー1万人の第九~歌のある星へ~」(2010年12月5日・大阪城ホール)でのこと。この公演の模様が、12月23日の特別番組「1万人の第九 meets 平原綾香~フロイデ×ジョイフル~」(毎日放送ほか)としてテレビ放映されたもの。

 仕掛けたのは、「サントリー1万人の第九」の総監督であり、来年ベルリン・フィルを振る指揮者の佐渡裕。平原綾香は作詞には相当のプレッシャーがあったようであるが、佐渡の助言で何とか乗り越え公演にこぎつけたものらしい。私は、最初ベートーヴェンの第9の第3楽章と聞いて、第4楽章の間違えではないかと思った。でもよく考えてみると、何時も第9の第3楽章を聴くとき、あのメロディーを、何となく小さく口ずさんでいる自分に思い当った。「そうなんだ、第3楽章は歌にして歌えば、第4楽章に勝るとも劣らない曲になるんだ!」このことをいち早く見抜いたのが佐渡裕だし、その期待に応えたのが平原綾香だ。

 私はこの番組で演奏された賛美歌「ジョイフルジョイフル(Joyful, joyful)」にも大いに興味を引かれた。この曲は、ベートーヴェンの交響曲第9番の第4楽章の主題旋律に、新たな歌詞(英語)を付け、1907年に発表されたものだという。番組では、平原綾香と共演の子供達が、ゴスペル調の「ジョイフルジョイフル」を踊りながら熱唱していた映像に強い印象を受けた。

 普通、クラシック音楽を聴く場合、表情を一切出さず、身動き一つしないというのが“しきたり”となっている。本来これはおかしいことで、人間は良い音楽を聴いたときは、体を動かしたり、声を出す方が自然なのだ。もし演奏家が体を動かさないで演奏したら、いい音楽なんて演奏できるわけがない。リスナーだけに“不動の姿勢”を強いる、今のクラシック音楽界のあり方自体に私は以前から強い疑念を持っている。

 そんなわけで、私は佐渡裕&平原綾香が生み出した、ベートーヴェンの第9の第3楽章の“世界初”であり“日本発”の歌「LOVE STORY」が世界に向かって広がったらいいな、と思うし、なにより、きっと草葉の陰でベートーヴェンが大喜びするに違いないと思っている。2011年3月には、CDのアルバムに収録され発売されるらしいので今から楽しみだ。(蔵 志津久)

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