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2015年4月08日

【2015年はシベリウス生誕150年―名曲・名盤⑨】


シベリウス:弦楽四重奏曲ニ短調op.56「親愛なる声」

弦楽四重奏:巖本真理弦楽四重奏団

           第1ヴァイオリン 巖本真理
           第2ヴァイオリン 友田啓明
           ヴィオラ       菅沼準二
           チェロ        黒沼俊夫

CD:東芝EMI CC30‐3653

 シベリウスの学生時代の3曲の弦楽四重奏曲は現在ほとんど演奏されないため、op.56のこの曲が実質的に唯一演奏されるシベリウスの弦楽四重奏曲である。作風は弦楽四重奏というよりも弦楽合奏に近く、実際、弦楽合奏で演奏されることもある。1908年から1909年にかけて作曲され、全部で5楽章からなっている。シベリウスはこの頃、喉の手術を行い、好きだった酒やたばこを遠ざけなければならない生活に陥ったこともあり、暫くの間、内向的、内省的な精神状況が続く。シベリウスはこの曲を「死の時であっても微笑みたくなるようなもの」と愛妻のアイノ夫人に言ったという(新田ユリ著「ポポヨラの調べ」五月書房刊)。このCDで演奏しているのは、伝説のカルテットとも言うべき巖本真理弦楽四重奏団である。ヴァイオリニストの巖本真理(1926年―1979年)は、1937年日本音楽コンクールで1位となり、一躍天才少女と呼ばれ脚光を浴びる。独奏活動を経て、1964年に「巌本真理弦楽四重奏団」を結成。1973年NHK第24回放送文化賞受賞など、数々の賞を受賞する。1971年に録音されたこのCDでは、4人の奏者の息がぴたりと合い、一部の隙のない演奏を披露する。シベリウスの切ない心境を反映させた優れた演奏内容だ。録音状態も良く、現役のCDとして十分に通用するほどの名演となっている。

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