2010年12月31日
シューマン:ピアノソナタ第2番
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
録音:1971年6月23日―25日 ミュンヘン
LP:ポリドール SE 7205
リストのピアノソナタは、高度な技巧が欠かせない。そんな難曲を若き日のアルゲリッチが、楽々と弾きこなしていることが聴き取れる。そして、リスト特有の、激情から突如叙情的な雰囲気へと急展開する独特の構成を、実に鮮やか技法を駆使し表現していることに驚かされる。古今のリストのピアノソナタの録音の中でも、スケールの大きさと、その説得力ある演奏内容で、特筆されるべき録音だと言える。シューマンのピアノソナタ第2番は、伝統的な的なピアノソナタの雰囲気とシューマン独特のロマンの香りとが重なり合ったような、いかにもシューマンらしい曲だ。ここでもアルゲリッチの類稀な演奏技法が光を放っている。何か糸を一本ぴーんと張ったような緊張感が全体を覆い、それがシューマンのロマンの世界と微妙な調和を保っている。