クラシック ピアニスト


2010年11月14日

アルトゥール・シュナーベル(1882年―1951年)  出身国:オーストリア

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番“皇帝”
        ピアノ協奏曲第2番

ピアノ:アルトゥール・シュナーベル

指揮:アルセオ・ガリエラ(第5番)
   イッセイ・ドブローウェン(第2番)

管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

CD:TESTAMENT(EMIレコード)SBT1020

 このCDはベートーヴェンのピアノ協奏曲の第5番と第2番の2曲を収めたCDで、第5番が1947年5月、第2番が1946年6月と今から60年以上も前の録音ではあるが、音質は意外に良好で、十分鑑賞に耐え得るレベルに達している。“皇帝”を弾くアルトゥール・シュナーベルのピアノ演奏は丁度、大きな教会の聖堂の下から上を見上げたような壮大な構成力を持っており、高く聳え立つ建築物の荘厳な趣きが、聴く者を圧倒する。それでいてピアノの音は流麗な流れを伴っており、音だけを聴くと一瞬、女流ピアニストのような繊細な感覚がまた堪らない。“皇帝”をこのような構成力と魅力的な音質で聴くことは、数あるCDの中でもあまり例を見ないほどの極上の仕上がりになっている。このCDの“皇帝”はベートーヴェンが描こうとした世界をほぼ完全に再現できており、是非とも一度は聴いてほしいCDではある。

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