2010年11月13日
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番
ショパン:ピアノ協奏曲第1番
モーツアルト:ピアノソナタ第11番 他
ピアノ:田中希代子
CD:キングレコード KICC576
田中希代子は、1952年(昭和27年)にジュネーヴ国際コンクールで最高位受賞(イングリット・ヘブラーと1位なしの2位を分け合う)、翌1952年(昭和28年)ロン=ティボー国際コンクールで4位入賞、さらに1955年(昭和30年)にはショパン国際コンクールで10位入賞を果たした。つまり、日本人が国際コンクールへ参加すること自体が珍しかった時代に、4年間で3つの国際コンクールに入賞するという離れ業をやってのけたのである。このCD2枚には、ショパン国際コンクールでのライヴ録音によるショパンのピアノ協奏曲、NHK定期演奏会でのベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番のライブ録音、さらにキングレコード・スタジオにおけるモーツァルトのピアノソナタ第11番などが収められている。ベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴くとその凛とした演奏姿勢には脱帽させられる。今こんな毅然としたベートヴェンを弾けるピアニストはいるのか。モーツァルトのピアノソナタを聴くと鮮やかなテクニックを見事に聴くことができる。こんなに流れるように正確で、しかも情感を持った演奏はめったに聴けるものではない。