2010年11月14日
シューマン:チェロ協奏曲
チェロ:パブロ・カザルス
指揮:ユージン・オーマンディ
管弦楽:プラド・フェスティバル・オーケストラ
CD:ソニー・ミュージック・エンターテインメント(フランス) SMK 58993
シューマンのチェロ協奏曲は地味な存在ながら、一度聞くと忘れられない印象深い名曲だ。この名曲をチェロの巨匠というよりはクラシック音楽界のドンであったと言った方が当てはまるパブロ・カザルスが演奏するとどうなるか。協奏曲というと独奏楽器とオーケストラが協調して演奏を盛り上げるのが普通だ。ところがこのCDは独奏者のカザルスの後を終始オーケストラが追いかけるといった図式となっている。主役はあくまでチェロだということを再認識させてくれる演奏だ。そしてカザルスのチェロというと千変万化。強く前に押し出したかと思えば、少し経つと静かに緩やかにうたう。聴き手はその演奏に巻き込まれしまい、あたかもカザルスが作曲したかのような錯覚に陥るほどだ。やはりカザルスは神様だった。録音は、南部フランスのプラドで、1953年5月28日-29日に行われたとある。