2010年11月14日
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番/第2番
チェロ:ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ
ピアノ:ルドルフ・ゼルキン
CD:ユニバーサル ミュージック UCCG 5129
このCDは、チェロのムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ (1927年―2007年)とピアノのルドルフ・ゼルキン(1903年―1991年)が共演した貴重な録音である。2人とも、私のクラシック音楽リスナー歴の中で、その中心に存在した神様みたいな演奏家だ。今回聴いて見て、つくづく2人の、その卓越した音楽的技巧と、悠然として本道を堂々と歩む音楽的姿勢に改めて敬服させられた。もうこんな演奏家は出てこないのではないかとすら感じられてしまうほどだ。決して上辺だけの技巧に走らず、自分の考える演奏を淡々と確信を持って弾きこなす、という姿勢は曲の最初から最後まで一貫している。何か音楽に奉仕する聖職者みたいな感じなのだ。最近は、ともすると聴衆受けすることを第一に考える演奏家が多くなりつつあるように感じられる。そんな折、ロストロポーヴィッチとゼルキンが残した録音は、今後ますます輝きを増すのではないだろうか。