2010年11月13日
モーツアルト:ピアノソナタ第15番/ロンド イ短調/ピアノソナタ第18番
ピアノ:内田光子
CD:西独フィリップス 412?122
内田光子の演奏するこのモーツアルトのCDを聴くと、完璧なほどなその構成美に圧倒される思いがする。これをみても、ちょっと普通の日本人の感覚を超えているということがいえるのではないか。ちょうど西欧の彫刻を音で表現しているかのようだ。これならヨーロッパで内田光子が高い評価を受けたことに合点がいく。聴き進むとなんだかギーゼキングのピアノの響きがする。絶対にリーリー・クラウスでもないし、ピリスでもない。ギーゼキングは新即物主義の旗手として見られていた。これは主観をなるべく排除し、楽譜に忠実に演奏するといった意味であろう。内田光子のモーツアルトを聴くとギーゼキング以上の新即物主義の演奏家ではないか、との思いを抱かざるを得ない。いずれにせよ、その完成度の高い演奏の質は特筆に価する。