2010年11月13日
ショパン:ピアノ曲集
ピアノ:アルフレッド・コルトー
CD:独EMI CZS 767359 2
コルトーは時代を越えて、今の我々の中にもすんなり入ってこれる魔力のようなものを持っている偉大なピアニストだ。普通だと時代が変われば、その当時巨匠と言われた演奏家でも、今の我々の感覚とはだいぶ違うなとの思いにとらわれることがしばしばだ。ところがコルトーだけは、例え雨降りのSP盤の録音でも聴いていてもあまり苦にならないのは不思議だ。これがほかの演奏家であればとても耐え切れないだろう。コルトーとほかのピアニストの違いって何なんだろう。その答えの一つは、音に色彩があるということだ。聴けば聴くほどモノトーンではなくカラフルなピアノの音色がするのである。完全にショパンを自分のものにして、聴かせどころをよくつかみ、どうだといわんばかりに弾き切る。それがいやみがなく、自然体であることがすごい。これからのデジタル時代でもコルトーの録音は生き続けるであろう。