2010年11月13日
シューベルト:4つの即興曲op.90/142
ピアノ:リリー・クラウス
CD:キングレコード K32Y 199
リリー・クラウスはレコード時代のモーツアルトのピアノソナタ全集でお馴染みの名ピアニストだ。音の1つ1つが表情を持ち、聴く者を引き付ける魅力を持っている。取り立てて華やかな演奏をするわけではないが、起伏の富んだ輝きを持つ軽やかなピアノタッチが特徴だ。このCDではシューベルトの4つの即興曲作品90/142を聴くことができる。録音状態が良く、現役盤でも通用しそう。このCDでもリリー・クラウスの持ち味が存分に発揮されている。程よい緊張感の中に、軽やかな旋律が流れるように弾かれていく。一見さらっとした感じがするが、単調ではなく、知らないうちに引き込まれるといった魅力を持つ。リリー・クラウス自体は第二次世界大戦で日本の捕虜になるという経験をした結果、残念ながら日本には良い感情を持ってはいなかったようだ。