クラシック 指揮者


バックナンバー 2010年 11月

2010年11月15日

アルトゥーロ・トスカニーニ(1867年―1957年)  出身国:イタリア


シューベルト:交響曲第8番「未完成」
       ? 交響曲第9番「ザ・グレイト」

指揮:アルトゥーロ・トスカニーニ

管弦楽:NBC交響楽団

CD:BMGビクター BVCC-5157

 トスカニーニが凄いのは、現在の指揮者にも営々とその影響が引き継がれていることだ。フルトヴェングラーは“神様”であっても、結果として一代で完結してしまった。誰も“神様”の真似などはしないし、しようとしても出来ないのだ。これに対しトスカニーニに指揮には、現代人の我々にも通じる何かが残されている。例えば、フリッツ・ライナー、シャルル・ミュンシュ、ジョージ・セル、ゲオルク・ショルティなどにトスカニーニの遺産は引き継がれ、さらに、カラヤン、バーンシュタインそして我らがマエストロ小沢征爾などにバトンタッチされている。また、現在第一線で活躍するノリントン、ラトルらにも多かれ少なかれ影響を与えているのである。

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2010年11月15日

ブルーノ・ワルター(1876年―1962年)  出身国:ドイツ


シューマン:交響曲第3番/第4番

演奏:ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨーク管弦楽団/ロンドン交響楽団

CD:ARLA53

 ブルーノ・ワルターは、フルトベングラー、トスカニーニと並び“3大指揮者”と呼ばれるが、フルトベングラー、トスカニーニが少々危ないくらいの激情型であるのと対照的に、ワルターは温和で感情を奥に秘めたようなところが特徴だ。そんなところが特に日本人にワルターのファンが多い理由ではなかろうか。ワルターは数々の名演を録音しているが、中でも私の一押しは、シューマンの交響曲第3番“ライン”である。シューマンの曲には何か病的な陰りが含まれたものが少なくないが、この“ライン”は健康そのものといった感じで、牧歌的なスケールの大きな交響曲に仕上がっている。このような曲想がワルターの温和な指揮ぶりにぴったりと合い、名演を残した。録音期日は1941年で60年以上の歳月がたっているにもかかわらず、決して聴きずらくないのも嬉しい。

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2010年11月15日

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886年―1954年)  出身国:ドイツ


ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」/交響曲第7番

指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

CD:ポリドール(独グラモフォン) F20G 29088

 ベートーヴェンとフルトヴェングラーの組み合わせの録音は、望みうる最高の音楽へと、我々リスナーを導いてくれるわけであるが、幾つかある二人の組み合わせの録音の中でも、私は今回紹介するライブ録音が望みえる最高な録音であると確信している。その迫力は、並みのライブ録音などでは到底聴くことのできないもので、何か神がかりな鬼気迫るものを感ずるほどである。よくディオニソス(激情的陶酔)的演奏という表現が使われるが、ここでのフルトヴェングラーの指揮ぶりは、正にディオニソス的演奏そのもので、ベートーヴェンがいばらの人生を歩みながら、やっと辿りついた境地を、余すところなく我々リスナーに開示してくれている。その意味で、このベートーヴェンの2つの交響曲の録音は、現在の人類が持ちうる最高の演奏といっても過言ではないのだ。

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