2010年12月31日
レナード・バーンスタイン (1918年―1990年) 出身国:アメリカ
ショスタコーヴィッチ:交響曲第5番
指揮:レナード・バーンスタイン
管弦楽:ニューヨーク・フィルハーモニック
CD:GLAND SLAM RECORDS GS‐2054
1959年8月、ニューヨーク・フィルはヨーロッパ・ツアーを行ったが、この途中でモスクワでコンサートを行った時のことだ。バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルがショスタコービッチの交響曲第5番を演奏し、聴衆から絶賛されたが、その中に作曲者のショスタコーヴィッチがおり、その演奏を激賞したのだ。要するにこのコンビの演奏が、作曲者自からお墨付きを与えられたのである。このことは米国でも大きく報じられ、帰国するないなや同じコンビで録音されたのが今回のCDなのである。そのためかスタジオ録音にもかかわらず、何かライブ録音の雰囲気を漂わせている。このCDの解説書で玉木正之氏は「私は、少々大人の落ち着きを感じさせる東京文化会館での来日公演ライブよりも、この旧盤の演奏のほうが、ずっとずっと好きだし、ずっとずっと名演だと確信している」と書いている。
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2010年12月31日
フリッツ・ライナー(1888年―1963年) 出身国:ハンガリー
ベートーベン:交響曲第5番“運命”/シューベルト:交響曲第8番“未完成”他
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
CD:RCA RCD1-5403
フリッツ・ライナーとシカゴ交響楽団のこの“運命”と“未完成”のCDは、その完成度の高さで他の追随を許さない。何しろ指揮者とオーケストラの信頼関係がCDを通してひしひしと伝わってくるのだ。オーケストラのメンバーはマエストロに全幅の信頼を置いて演奏していることが手に取るように分かる。また、ライナーの指揮ぶりもオーケストラの力量を存分に引き出すことに全力を挙げているかのようで、決して、強引な指揮ぶりは見せない。“運命”では中庸なテンポで奇をてらったりはしないのだが、実に生き生きと描ききる。一方“未完成”では新鮮な地下水が静かに沸いてくるような、すがすがしさを醸し出している。
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2010年12月31日
カール・シューリヒト(1880年―1967年) 出身国:ドイツ
ブラームス:交響曲第4番
バッハ:管弦楽組曲第2番
指揮:カール・シューリヒト
管弦楽:スイス・ロマンド管弦楽団
CD:CASCAVELLE VEL 3133
カール・シューリヒトは、第2次世界戦後、ウィーン・フィルをはじめ、シカゴ交響楽団、ボストン交響楽団などで客演指揮を行い、晩年になるほど名声が出てきた指揮者なのである。今、その録音を聴いても、求心力がもの凄く大きかった指揮者であることが聴き取れる。通常、このような指揮者の場合、激情型の演奏をしがちであるが、シューリヒトの場合は、何か清々しい緊張感に包まれるところが、他の指揮者と違う所である。このCDの演奏でも、その曲の演奏をリスナーに押し付けるのではなく、あくまでも、その曲が持つものオーケストラが自発的に演奏するようもっていく腕は、余人を持って代えがたし、とでも言ったらいいであろうか。
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2010年12月31日
ゲオルク・ショルティ(1912年―1997年) 出身国:ハンガリー
シューベルト:交響曲第8番「未完成」/第5番
指揮:ゲオルグ・ショルティ
管弦楽:ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
CD:英DECCA 430 439-2
このCDに収められた、ゲオルグ・ショルティが指揮したウィーンフィルによるシューベルトの2つの交響曲は、すべての人に薦められる普遍性を持った実に堂々とした演奏となっている。これまでどのくらいの名指揮者がこれらの2曲、中でもクラシック音楽の代名詞ともなっている「未完成」を演奏し、録音してきたかは数知れない。そんな中で私は、ショルティとウィーンフィルによるこのCDの演奏が一歩抜きん出ている存在であると確信している。
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2010年12月30日
セルジュ・チェリビダッケ(1912年―1996年) 出身地:ルーマニア
シューマン:交響曲第1~4番
指揮:セルジュ・チェリビダッケ
管弦楽:ミラノ交響楽団/ロンドン交響楽団/ミュンヘンフィルハーモニー
CD:ARTISTS FED 009.10(ライブ録音)
チェビリダッケは、その強烈な個性から楽団員とのトラブルが多かった指揮者だと聞く。このシューマンの交響曲全集のライブ録音を聴くとその個性の一端が読み取れる。第1番と第4番はチェビリダッケの持ち味が存分に発揮された名演だ。第4番については、これまでフルトベングラーの名盤があるため目立たないが、チェビリダッケの第4番を聴くと、フルトベングラー盤を超える名盤と言っても間違いないほどの名演だ。
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2010年12月30日
ヴィクトール・デ・サバタ(1892年ー1967年) 出身国:イタリア
ベートーベン:交響曲第6番「田園」
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」他
指揮:ヴィクトール・デ・サバータ
管弦楽:聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団
CD:伊EMI 081 4 83476 2
これはオペラの指揮で有名なヴィクトール・デ・サバタが録音したCDである。何とも楽しい“田園”が目の前に広がる。何と言ったらよいのか、歌を歌いながら山の尾根を軽々とした足取りで進んでいく気分である。聴き込んでいくうちに自然に体が動き出してしまう。そうだ、そうなんだ、クラシック音楽だからといって、何も難しい顔を聴いているばかりが能ではない!このCDでデ・サバータは、オペラのようにドラマチックに田園交響曲を演じ、時にセクシーといっていいほどの指揮ぶりを発揮する。こんな指揮者が今いたら、クラシック音楽はさらに面白くなること請け合いだ。
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2010年12月30日
カレル・アンチェル (1908年―1973年) 出身国:チェコ
ドボルザーク:交響曲第8番
演奏:カレル・アンチェル指揮 アムステルダム・コンセルトヘボー管弦楽団
CD:TAHRA TAH124
もともとドボルザークの交響曲第8番は親しみやすい曲であるが、チェコ出身のカレル・アンチェルが振ると一層親しみがわく。カレル・アンチェルの指揮ぶりは、非常に明確に曲想を表現するので誰にも聴きやすい。と同時に民族色というか、何か大地に根を張ったような健康な力強さが身上であった。スメタナの“わが祖国”などを指揮をさせたら右に出る者はいないといってもいいほどだ。このドボルザークの交響曲第8番も十八番の一つで、他の追随を許さない。
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2010年12月30日
カール・ベーム(1894年―1981年) 出身国:オーストリア
~ベーム、ウィーンフィル 1977東京ライブ~
モーツアルト:交響曲第29番
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
リハーサル風景
ブラームス:交響曲第2番
指揮:カール・ベーム
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
CD:TDK-OC 006
モーツアルトの交響曲第29番は、ウィーンからザルツブルグに戻ったモーツアルトが1744年に作曲した、後期の交響曲にも繋がるような、非常に充実した内容を持つ、初期の交響曲である。第1楽章の出だしからして、ベームとウィーンフィルの名コンビは、これ以上考えられない程に安らぎに満ち、弦楽器の音色の微妙な変化を愉しむかのように演奏していく。これだけ聴くだけで、このコンビの巧みで自然な演出力の虜になってしまい、気分はもうモーツアルトの世界に釘づけとなること請け合い。第2楽章は、アンダンテのゆっくりとした楽章で、この高貴な雰囲気の中に身を置いていると、何か俗世間のことを一時忘れ去るような雰囲気に包まれる。ここでも、ベームとウィーンフィルのコンビは、考え得る最良の音楽をリスナーに届けてくれるのだから堪らない。第3楽章は、軽快なメヌエット。管楽器と弦楽器の掛け合いのような音づくりに酔わされる思いがする。第4楽章は、これまでのゆっくりとした雰囲気から、一気に交響曲らしい壮大な音づくりに大満足。
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2010年12月30日
フェレンツ・フリチャイ(1914年―1963年) 出身国:ハンガリー
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
:ヴァイオリン協奏曲
指揮:フェレンツ・フリッチャイ
ヴァイオリン:ユーディ・メニューイン
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(交響曲第6番「悲愴」)
RIAS‐シンフォニーオーケストラ(現ベルリン・ドイツ交響楽団)
CD:ドイツ・グラモフォン 445 409‐2
フェレンツ・フリッチャイがチャイコフスキー名曲を振ったのが今回のCDである。メリハリを身上とするフリッチャイが、ロシアの民族音楽の元祖みたいなチャイコフスキーを指揮したらどうなるのか?普通考えるとどうも相性が良くないと思いがちだが、意外にそうでもない。それは、フリッチャイの桁外れな情熱と、暗く、陰鬱なチャイコフスキーの情熱とがうまく混ざり合って、聴くものを圧倒する出来栄えとなっている。このCDでも、フリッチャイの指揮は一点の曖昧さもない。一方、チャイコフスキーの曲は、茫洋とした暗い情念を漂わせている。この二つの接点を考えてみると、チャイコフスキーの曲に、何か一本芯張り棒のようなようなものをフリッチャイが付け加えることによって、結果としてスケールの一回り大きな、しかも過去からの引きずった古臭いチャイコフスキー像に代わり、新鮮で筋肉質の近代的な新しいチャイコフスキー像の創造に成功したということができる。
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2010年12月30日
ジョージ・セル(1897年―1970年) 出身国:ハンガリー
チャイコフスキー:交響曲第5番
指揮:ジョージ・セル
管弦楽:クリーブランド管弦楽団
CD:ソニー CSCR 8202
ジョージ・セルという指揮者の名前を聞けば即座にクリーブランド管弦楽団が思い浮かぶほど両者の関係は切っても切れない関係にある。その演奏を聴けば、この両者の結びつきは単なる指揮者とオーケストラの関係以上のものであることが分かろう。一部の隙のない演奏だがさりとてぎすぎすしたものではなく、むしろ伸びやかな印象を与える。その音色は丁度ビロードのような感触に感じられる。重厚感があるが、決して重々しくない。羽目を外さない演奏なのだが、飽きが来ず、味わいのある雰囲気をかもし出す。何か古き良きアメリカを象徴しているかのようだ。
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