2010年11月15日
シューマン:交響曲第3番/第4番
演奏:ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨーク管弦楽団/ロンドン交響楽団
CD:ARLA53
ブルーノ・ワルターは、フルトベングラー、トスカニーニと並び“3大指揮者”と呼ばれるが、フルトベングラー、トスカニーニが少々危ないくらいの激情型であるのと対照的に、ワルターは温和で感情を奥に秘めたようなところが特徴だ。そんなところが特に日本人にワルターのファンが多い理由ではなかろうか。ワルターは数々の名演を録音しているが、中でも私の一押しは、シューマンの交響曲第3番“ライン”である。シューマンの曲には何か病的な陰りが含まれたものが少なくないが、この“ライン”は健康そのものといった感じで、牧歌的なスケールの大きな交響曲に仕上がっている。このような曲想がワルターの温和な指揮ぶりにぴったりと合い、名演を残した。録音期日は1941年で60年以上の歳月がたっているにもかかわらず、決して聴きずらくないのも嬉しい。