クラシック 指揮者


2010年12月29日

ウィレム・メンゲルベルク(1871年―1951年)  出身国:オランダ

 

シューベルト:交響曲第7番「未完成」
        交響曲第(8)9番「ザ・グレート」

指揮:ウィレム・メンゲルベルク

管弦楽団:アムステルダム・コンセトヘボウ管弦楽団

CD:phono-museum MENGELBERG EDITION Vol.1

 このCDに収められたシューベルトの2つの交響曲は、1942年11月にコンセルトヘボウで録音された。ここでのメンゲルベルクは、「未完成」においては、男性的な指揮ぶりに徹しており、「未完成」の持つ図り知れない生命力を遺憾なく発揮しているのが印象的だ。現代の指揮者は「未完成」を振るとき、余りにもディテールに拘りすぎ、美しい「未完成」を描き過ぎるではないではなかろうか。これは、リスナーがそのようなもの要求するから、自然にそうなっただけと私は思っている。リスナーはただ受身で聴いていたのではダメなのだ。“「未完成」=美しい”だけではいけないのだ。男性的な力強さと生命力を持ったシンフォニーが「未完成」の真の姿であると思う。70年近く前のメンゲベルクのこの指揮ぶりは、このことをはっきりと示しており、その存在意義は今でも少しも薄れていないと私は思う。その意味でこのCDは歴史的名盤というより、私にとっては現役盤と肩を並べる位置づけである。一方、「ザ・グレート」の方は、「未完成」ほど力強くはないが、それでも雄大なシューベルト像を描き出そうとしている点は、「未完成」と同じである。

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