2010年11月13日
モーツアルト:ピアノソナタ全曲
ピアノ:マリア・ジョアオ・ピリス
CD:日本ポリドール POCG 1480/5
モーツアルトのピアノソナタ全集はリリー・クラウス、ワルター・ギーゼキング、グレングールド、イングリッド・ヘブラーなど、過去から多くの名盤に恵まれている。言わばショパン、ベートーベンと並びピアニストの登竜門的位置づけとなっている。これらの中でマリア・ジョアオ・ピリスのモーツアルト/ピアノソナタ全集は、十分にその存在意義持ち、さらに透明感ある音色、ゆったりとしたテンポ、そして何よりも説得力ある語り口、どれもとっても一級品であることは間違いない。特に名盤が多い中でピリスの最大の特徴は、現代人として最も共感できるモーツァルトに仕上がっていることであろう。クラウスやギーゼキングのように大時代がかっておらず、また、グールドのようなモダニズムとも違う。我々が日常過ごしている空間に入り込んでもなんら違和感を感じないモーツァルトとなっている。