2010年11月13日
ショーソン:詩曲
ドビュッシー:ヴァイオリンソナタ
ラヴェル:ツィガーヌ/ハバネラ形式の小品
R.シュトラウス:ヴァイオリンソナタ
ヴァイオリン:ジネット・ヌヴー
指揮:イサイ・ドヴロヴェーン
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
ピアノ:ジャン・ヌヴー/グスターフ・ベック
CD:独EMI CDH 7 63493 2
1949年10月、飛行機事故で僅か30歳で命を絶たねばならなかった天才女流ヴァイオリニスト ジネット・ヌヴー(1919年―1949年)。今僅か7回のスタジオ録音と3回の放送ライブ録音が残されているのみだが、そのすべてがそれぞれの曲の決定版と言っても過言でないほどの至高の内容をもっている。ショパンの直ぐ側の墓にヌヴーは眠っているそうであるが、死後にフランス政府からレジョン・ドヌール十字章が贈られたことでも、生前その存在がいかに大きかったかが分かる。このCDに収められたショーソン、ドビュッシー、ラヴェル、R.シュトラウスの曲はいずれも名演中の名演で、現在でもこれらの演奏を超えた演奏は見あたらない。ジネット・ヌヴーはフランコ・ベルギー楽派に属するバイオリニストであると言われていたように、音色はすこぶる美しいが、その美しさが単なる美しさでなく、力強さを内に秘め、聴くものを思わず誘い込むような魅惑的な美しさだから、何回聴いても少しも飽きることがない。CDを何回聴いても新しい発見があるような、そんな演奏なんてめったにあるものではない。