2010年11月13日
フランク:ヴァイオリンソナタ
ドヴュッシー:ヴァイオリンソナタ
フォーレ:ヴァイオリンソナタ第1番 他
ヴァイオリン:ジャック・ティボー
ピアノ:アルフレッド・コルトー 他
CD:東芝EMI CE30-5741
ティボー (1880年―1950年)とコルトー(1877年―1962年)のこの“フランス音楽 ヴァイオリンソナタ傑作選”ほど、私のクラシック音楽リスナー歴に影響を与えた録音は、そうないといってもいいほどだ。フランクのヴァイオリンソナタを弾くジャック・ティボーのヴァイオリンは、フランスの作曲家の作品とは思えないほどの、がっちりとした構成力を存分に見せ付ける演奏で、その堂々として、しかもゆったりとした弾きぶりは、これが真の巨匠の演奏だということの印象を深く刻み付けられる。ドヴュッシーのヴァイオリンソナタは、フランクのヴァイオリンソナタとはがらりと趣が異なり、いかにもフランスのヴァイオリンソナタだということが、ティボーとコルトーのフランス人のコンビによって、はっきりと肌で感じ取れる演奏内容となっている。フォーレのヴァイオリンソナタ第1番は、いかにもフォーレらしさに覆われたフランスのヴァイオリンソナタの傑作の一曲。第一楽章は、流れるように濃密な雰囲気を発散させながら、軽快に突き進むが、ティボーとコルトーは、互いの演奏を高めあいながら、徐々に気分を盛り上げていくところが、何ともただならぬ凄さを醸し出す。