2010年11月13日
モーツルト:ヴァイオリン協奏曲第1/2/3/4/5番
ヴァイオリン:アルテュール・グリュミオー
指揮:コリン・デイヴィス
管弦楽:ロンドン交響楽団
CD:フィリップスレコード(日本フォノグラム) 416 632-2/412 250-2
このCDで演奏しているアルテュール・グリュミオー(1921年―1986年)は、我々には馴染み深い、フランコ・ベルギー楽派を代表するベルギー出身の名ヴァイオリニストである。フランコ・ベルギー楽派は、?自然で合理的な弓使い?細かなニュアンス、美しい音色?魅惑的なメロディーや華麗な技巧―などを特徴としているが、グリュミオーはこれらの特徴を完全に備えたうえ、さらに気品に満ちた演奏、艶やかで瑞々しい叙情性も十分すぎるほど備えている。クララ・ハスキルとの演奏もCDに残されているが、この二人の不世出の名手の演奏を凌駕する演奏は未だにないといえるほどだ。このモーツアルトのバイオリン協奏曲のCDでも、これらの特徴が存分に発揮されており、しかも鮮明な録音で残され、これらの曲のCDの決定盤といっても過言でなかろう。このCDは、あらゆる面で成熟し頂点に達したグリュミオーの円熟した演奏を存分に味わうことができる録音といえるし、コリン・デイビィス指揮のロンドン交響楽団もモーツアルトの世界を的確に描ききっていて、聴いていて心地良い。