2010年11月13日
~ライブ録音による5大ヴァイオリン協奏曲集~
ベートーヴェン/メンデルスゾーン/ブラームス/シベリウス/コルンゴルト
バイオリン:ヤッシャ・ハイフェッツ
指揮:アルトゥール・ロジンスキー(ベートーヴェン、ニューヨーク1945年ライブ録音)
ギド・カンテルリ(メンデルスゾーン、同1954年)
ジョージ・セル(ブラームス、同1951年)
ディミトリー・ミトロプーロス(シベリウス、同1951年)
エフレム・クルツ(コルンゴルト、同1947年)
管弦楽:Philharmonic Symphony Orchestra
CD:米MUSIC AND ARTS PROGRAMS OF AMERICA,INC. CD・766-2
ヤッシャ・ハイフェッツ(1901年―1987年)は、ユダヤ人としてロシアに生まれる。6歳で既にメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏したなど、神童ぶりを発揮。10代でヨーロッパ各地において演奏会を開き、1917年カーネギー・ホールで米国デビューを果たしており、1925年には米国の市民権を得ている。ハイフェッツが当時いかに聴衆から支持されていたかは、このCDを聴けばたちどころに分かる。それは第1楽章が終わるや否や拍手が送られ、それも、“待っていました”とばかりに曲が終わるかどうかというタイミングでの拍手である。コルンゴルトの協奏曲に至っては全楽章拍手というありさまだ。このコルンゴルトは近年になり再評価されている作曲家で、ヴァイオリン協奏曲はハイフェッツにより初演され、ハイフェッツはこの曲を生涯愛奏したそうである。このCDのもう一つの魅力は5人の豪華な指揮者たちだ。誰もが名前負けせず、締めるときは締め、ハイフェッツに歌わせるときは歌わせ、さすがマエストロというオーケストラ伴奏を聴かせてくれる。このCDは年配の方が聴けば昔を懐かしく思い出せ、若い人が聴けば伝説の天才ヴァイオリニスト・ハイフェッツの全容が掴めるという、まことに貴重なCDなのである。