2010年11月14日
シューマン:ヴァイオリンソナタ第1番/第2番
ヴァイオリン:ギドン・クレーメル
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
CD:ドイツ・グラモフォン F35G 20075
シューマンの2曲のヴァイオリンソナタは、ともすると、暗い情念が内に篭ったような演奏スタイルとなりやすいのだが、ここでの2人のデュオは、誠に伸びやかで、大らかな演奏に徹している。ピアノのアルゲリッチが、ピアノ伴奏というより、クレーメルのヴァイオリンと対等に、絡み合うようにシューマンの世界を演奏しているところが、他のシューマンのヴァイオリンソナタの録音とは一味違う。それに、何といってもクレーメルが弾くヴァイオリンのリズム感と音色がとても魅力的であり、聴いているうちに、何かお酒を飲んだ時のようにフラフラとなる、といってはオーバーかもしれないが、リスナーを引き付けずにおかない何かをクレーメルは持っている。聴き終わったときに、自然に口から“ブラヴォー”が出てきそうになる。