2010年11月13日
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲他
ヴァイオリン:レオニード・コーガン
指揮:アレクサンダー・ガウク
管弦楽:The USSR TV and Radio Large Symphony Orchestra
CD:ARL7
レオニード・コーガン(1924年―1982年)はダビッド・オイストラフと並び旧ソ連を代表する偉大なるバイオリニストで、58歳で生涯を終えた。オイストラフの名声の前に少々隠れ気味のところがあったが、実力からするとオイストラフを上回るものをコーガンは持っていた。我々の世代ではオイストラフとコーガンはバイオリンの神様的存在で、野球でいえば長島、王といったことになろうか。今は旧ソ連は崩壊したが、クラシック音楽に関していえばオイストラフ、コーガンの時代が一番レベルが高かったのではなかろうか。ここでのコーガンの演奏を聴くと、高音から低音まで、実に伸びやかに、滑らかに、まるでビロードの肌触りのような演奏内容となっている。全体にバランスがとれ、しかもみずみずしさを漂わせた演奏はめったに聴かれるものではない。数あるチャイコフスキーのバイオリン協奏曲のCDの中でも特筆すべきCDと言えるであろう。