クラシック ヴァイオリニスト


2010年11月13日

ユーディ・メニューイン(1916年―1999年)  出身国:米国


シューベルト:幻想曲 D934

ヴァイオリン:ユーディ・メニューイン

ピアノ:ルイス・ケントナー

CD:東芝EMI TOCE6915

 このシューベルトのピアノとバイオリンによる幻想曲は、起伏のある曲想に加え、瞑想的な思考が凝縮されたバイオリン曲の傑作だ。同時にピアノの役割は重要で、単なるバイリンソナタとは少々異質な趣がある。名手メニューイン はこの傑作にふさわしい印象に残る演奏をしている。スケールを大きく取ると同時に、必要以上に幻想的にはせず、明確な確信に満ちた、どちらかと言えば健康的な幻想曲に仕上げている。この結果、聴き終わったあとの印象は快いものとなる。

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2010年11月13日

ヨーゼフ・シゲティ(1892年―1973年)  出身国:ハンガリー


モーツアルト:バイオリンソナタ集(K301/K303/K305/K302/K296/K304/
                 K306/K376/K377/K378/K379/K380/
                 K454/K481/526)

ヴァイオリン:ヨーゼフ・シゲティ

ピアノ:ミエスチラフ・ホルショフスキー
    
指揮:ジョージ・セル(K454/K481)

CD:米VANGUARD CLASSICS   OVC 8036/37/38/39

 ヨーゼフ・シゲティ (1892年―1973年)は、ハンガリー出身の20世紀を代表する大バイオリニストであった。当時、シゲティの名を聞くと“泣く子も黙る”といった感じがしていたし、正にバイオリニストの大御所として君臨したわけである。先頃、久しぶりにCDラックの奥の方を探してみたところ、昔買っておいた「モーツアルト:バイオリンソナタ集(CD4枚組)」が出てきた。このCDは購入した時はあまり集中して聴いた記憶がなかったので、「今聴いたら何か違って聴こえるのかな?」と、あまり期待もしないで、何とはなしに聴いてみたのだが、聴いた後の感想はというと「以前とは違って聴こえた」のだ。モーツアルトのバイオリンソナタは、特にバイオリンの“美音”が大きくものを言う曲であり、グリュミオーやシェリングの音に馴染んだ私としては、シゲティの音は少々違和感が残るものの、曲によってはシゲティの方がより曲の本質を突いているような気もする。華やかではないが心の内面を表現したような曲では特にこの感が深いのだ。この意味から今回のCDの中ではK377、K379、K380、K454、K481、K526など比較的後期の曲の演奏が、心に染みわたる名演として、私の記憶の中に残る演奏となっている。

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2010年11月13日

ジョルジュ・エネスコ(1881年―1955年)  出身国:ルーマニア


バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ

ヴァイオリン:ジョルジュ・エネスコ

CD:PHILIPS(日本フォノグラフ)25CD9256

 ジョルジュ・エネスコ(1881年―1955年)は、我々にとってはルーマニア狂詩曲の作曲者として知られているが、バイオリニスト、指揮者、ピアニスト、音楽教育者としても一流の腕を持っていた、今で言うならオールラウンドプレーヤーといった存在であった。特にヴァイオリニストとしては、クライスラー、ティボーとともに20世紀前半の三大ヴァイオリニストの一人に数えられているほどだ。ヴァイオリンの教育者としても卓越したものを持っていたようで、活躍の場はフランスが中心で、それに第2次世界大戦中にはアメリカに渡っている。とりわけエネスコはバッハに対して大変深い敬愛の念を抱いていたが、これは1948年に録音されたレコードを基に、ノイズを取り除いて聴きやすくした無伴奏バイオリンソナタ第1番?第3番/パルティータ第1番?第3番を収めたCDである。もちろん音は古いが、鑑賞に耐えられるレベルとなっており、特にノイズがほとんどカットされているので心地よく聴くことができる。ただただバイオリンの音そのものの飽くなき追求と、バッハが五線譜に書き残した音楽に対する強い共感とがこのCDには込められている。この意味でこのCDは他のCDとは同列には扱えないような、次元が違うCDとすら思えてくる。

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