クラシック 指揮者


バックナンバー 2010年 12月

2010年12月29日

ハンス・クナッパーツブッシュ(1888年―1965年)  出身国:ドイツ


モーツアルト:交響曲第39番/第40番/第41番

演奏:指揮=ハンス・クナッパーツブッシュ      
        ベルリン・オペラ管弦楽団/ウイーンフィルハーモニー管弦楽団

CD:PREISERRECORDS 90951  

 マエストロの東の横綱がフルトベングラーなら、西の横綱がクナッパーツブッシュという位置付けだ。フルトベングラーの指揮は、“振ると面食らう”と揶揄されたように、茫漠とした感情の嵐が吹きすさむダイナミックな演奏が身上だ。それに対しクナッパーツブッシュの指揮はスケールの大きさではフルトベングラーさえも上回り、現在まで比肩できる指揮者はいないほどだ。ただ、クナッパーツブッシュは感情に流されることなく、客観的に曲と接している。この辺が両マエストロの違いだ。

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2010年12月29日

ウィレム・メンゲルベルク(1871年―1951年)  出身国:オランダ


 

シューベルト:交響曲第7番「未完成」
        交響曲第(8)9番「ザ・グレート」

指揮:ウィレム・メンゲルベルク

管弦楽団:アムステルダム・コンセトヘボウ管弦楽団

CD:phono-museum MENGELBERG EDITION Vol.1

 このCDに収められたシューベルトの2つの交響曲は、1942年11月にコンセルトヘボウで録音された。ここでのメンゲルベルクは、「未完成」においては、男性的な指揮ぶりに徹しており、「未完成」の持つ図り知れない生命力を遺憾なく発揮しているのが印象的だ。現代の指揮者は「未完成」を振るとき、余りにもディテールに拘りすぎ、美しい「未完成」を描き過ぎるではないではなかろうか。これは、リスナーがそのようなもの要求するから、自然にそうなっただけと私は思っている。リスナーはただ受身で聴いていたのではダメなのだ。“「未完成」=美しい”だけではいけないのだ。男性的な力強さと生命力を持ったシンフォニーが「未完成」の真の姿であると思う。70年近く前のメンゲベルクのこの指揮ぶりは、このことをはっきりと示しており、その存在意義は今でも少しも薄れていないと私は思う。その意味でこのCDは歴史的名盤というより、私にとっては現役盤と肩を並べる位置づけである。一方、「ザ・グレート」の方は、「未完成」ほど力強くはないが、それでも雄大なシューベルト像を描き出そうとしている点は、「未完成」と同じである。

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