クラシック音楽 日本の歌


2014年6月21日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 24 筝

~春の海/箏の名曲~

春の海     宮城喜代子・筝/二世 青木鈴慕・尺八
さくら変奏曲   宮城数江・第一筝/小橋幹子・第二筝/菊地悌子・十七弦
瀬音        宮城数江・筝/菊地悌子・十七弦
落葉の踊り   宮城喜代子・三弦/宮城数江・筝/菊地悌子・十七弦
数え唄変奏曲  宮城数江・筝
さらし風手事   宮城喜代子・筝(低音)/宮城数江・筝(高音)
水の変態     宮城数江・歌・筝(本手)/宮城喜代子・筝(替手)

作曲:宮城通雄

CD:ビクター伝統文化振興財団 VZCG-510

 このCDは、宮城通雄作曲の筝(そう)の名曲が7曲収められているので、有名な筝曲を聴きたいというときには便利なCDである。日本人なら子供の頃から琴の音ぐらいは誰でも一度は聴いたことがある。ところが、「琴」と「筝」はどう違うのか?という問いに正確に答えられる日本人はあまり多くはないではないか。「箏」は、日本の伝統弦楽器であり、一般には「こと」と呼ばれ、「琴」の字を当てられるが、正式には「箏」が正しい。「琴(きん)」は別の楽器で、違いは、箏は柱(じ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節するのに対し、琴(きん)は柱が無い、ということなのだそうである。ことほど左様に日本人だから日本の歌や楽器は知っていると考えるのは、正しくないようだ。このCDに収められている「春の海」を作曲した宮城通雄(1894年ー1956年)は、神戸市生まれの作曲家・箏曲家で、十七絃の発明者としても知られている。14歳で第一作の箏曲「水の変態」を書き上げ、1919年、作曲家として正式にデビュー。古典楽器の改良や新楽器の開発を行い、十七絃、八十絃、短琴、大胡弓などを発明した。1929年に発表した「春の海」は、フランス人女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと競演し、世界的な評価を得た。そして「さくら変奏曲」にワルツが出てくるように、宮城通雄はクラシック音楽からも影響を受けて作曲活動を展開していた。1937年東京音楽学校(現東京藝術大学)教授就任、1948年日本芸術院会員、1950年第1回放送文化賞を受賞した。

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