クラシック音楽 日本の歌


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2014年6月29日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 27 松本美和子


~日本の名歌を歌う~

からたちの花      北原白秋・詩/山田耕筰・曲
花林            杉浦伊作・作/畑中良輔・曲
さくら横ちょう       加藤周一・詩/別官貞雄・曲
さくらさくら        日本古謡/山田耕筰・編曲
しぐれに寄する抒情  佐藤春夫・詩/大中恩・曲
城ケ島の雨       北原白秋・詩/梁田 貞・曲
落葉松          野上彰・詩/小林秀雄・曲
サルビア         堀内幸枝・詩/中田喜直・曲
ちいさい秋みつけた  サトウハチロー・詩/中田喜直・曲
ねむの木の子守唄   皇后陛下・御作詩/岡本正美・曲
時計台の鐘       高階哲夫・詩/曲
霧と話した        鎌田忠良・詩/中田喜直・曲
水色のワルツ      藤浦 洸・詩/高木東六・曲
野薔薇          三木露風・詩/山田耕筰・曲
砂山           北原白秋・詩/山田耕筰・曲
ちんちん千鳥      北原白秋・詩/近衛秀麿・曲
待ちぼうけ        北原白秋・詩/山田耕筰・曲
赤いかんざし      貴志康一・詩・曲
母             竹久夢二・詩/小松耕輔・曲)
子守唄          野上彰・詩/団伊玖麿・曲)

ソプラノ:松本美和子

ピアノ:椎野伸一

録音:1994年5月26日~27日、松本ハーモニーホール

CD:日本ビクター VICC-176

 このCDは、今やわが国声楽界の重鎮である松本美和子がリリースした2枚目の「日本の歌」である。1枚目は、「荒城の月」から「夏の思い出」「花のまち」まで、「日本の歌」の定番とも言える曲目を集めてあるのに対し、2枚目は、松本美和子の曲目の選択のセンスが光る「日本の歌」のアルバムとなっている。例えば、「時計台の鐘」とか「水色のワルツ」などは、その昔、ラジオからしょっちゅう流れてきた名曲だが、さすが最近では、あまり聴く機会が無くなっている。今聴いてみると、どちらの曲もシンプルな中に、「日本の歌」の特徴である抒情味が溢れんばかりに盛り込まれており、聴き終えた後もその余韻に浸ることができる。松本美和子の暖かくも、丸みのある音質でこれらの曲を聴いていると、「日本の歌」の格調の高さが、他の歌手の何倍にもなって聴こえてくる。松本美和子は、奈良市出身。武蔵野音楽大学卒業後、1965年ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院を首席で卒業。1967年ジュネーヴ国際音楽コンクール2位、マリア・カナルス国際音楽コンクール2位。1972年ローマ・アカデミア・サンタ・チェチーリア修了。1986年ジロー・オペラ大賞、1990年新日鉄音楽賞特別賞、1998年モービル音楽賞などを受賞する。2006年紫綬褒章を授与される。2012年旭日小綬章を叙勲。現在、母校である武蔵野音楽大学の特任教授として後進の指導にも当たっている。

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2014年6月26日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 26 尺八


武満徹:ノヴェンバー・ステップス      ~尺八と琵琶とオーケストラのための~
     ア・ストリング・アラウンド・オータム ~ヴィオラとオーケストラのための~
     弦楽のためのレクイエム           ~弦楽オーケストラのための~
     セレモニアル                  ~オーケストラと笙のための~
     マイ・ウェイ・オブ・ライフーマイケル・ヴァイナーの追憶にー 
                     ~バリトン、混声合唱、オーケストラのための~

詩:田村隆一

指揮: 小澤征爾

管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ

尺八:横山勝也

琵琶:鶴田錦史

ヴィオラ:今井信子

バリトン:ドウェイン・クロフト

合唱:東京オペラシンガーズ

CD:ユニバーサルミュージック PHCP-21036

 武満徹(1930年―1996年)の「ノヴェンバー・ステップス」は、日本古来の楽器である尺八が、琵琶、オーケストラともに演奏されるという野心的な作品だ。武満徹は、独学で世界的名声を得た数少ない作曲家である。1957年、「弦楽のためのレクイエム」を発表したが、当時の日本の作曲界はこれを完全に無視。しかし、この作品のテープを、1959年にたまたま来日していたストラヴィンスキーがNHKで聴き、絶賛したことで初めて日の目を見ることになり、後の世界的評価へと繋がる。武満徹は、小林正樹監督の「切腹」、羽仁進監督の「不良少年」、勅使河原宏監督の「砂の女」など、数多くの映画音楽も手掛けた。これらの映画音楽には、尺八、琵琶、笙など、日本古来の楽器が多く使われており、これらを基に琵琶と尺八の二重奏曲「エクリプス」を作曲。この作品は、小澤征爾を通じてニューヨーク・フィルの音楽監督レナード・バーンスタインに伝えられ、これにより、同楽団の125周年記念の委嘱作品として琵琶と尺八とオーケストラによる「ノヴェンバー・ステップス」(1967年)が作曲されたのである。尺八は、中国の唐を起源とし、日本に伝来、鎌倉時代から江戸時代の頃にかけて現在の形になったという。尺八は、真竹の根元を使い、7個の竹の節を含むようにしてつくる。このCDで尺八を演奏している横山勝也(1934年-2010年)は、福田蘭童らに師事。 昭和39年に2代目山本邦山,2代目青木鈴慕と尺八三本会を結成。1942年小沢征爾指揮のニューヨークフィルと武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」を演奏以後、国際的にも活躍した。

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2014年6月24日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 25 三味線


~吉田兄弟全国ツアー2006 “飛翔”実況完全録音盤~

<Disc.l>

冬の桜       作曲 吉田良一郎
ありがとう     作曲 吉田良一郎・矢島公租
もゆる        作曲 吉田良一郎
時の砂       作曲 吉田良一郎・井上鑑
りんご節~どんぱん節~こきりこ節~NIKATA 民謡
津軽じょんがら節 民話

<Disc.2>
RISING      作曲 吉田健一・井上鑑
OVERLAND BLUES  作曲 吉田健一
モダン        作曲 吉田健一
Panorama    作曲 吉田健一・井上鑑
いぶき        作曲 吉田良一郎・吉田健一
Sistina        作曲 吉田健一・井上鑑
バルセロナ     作曲 吉田健一・井上鑑
鼓動          作曲 吉田健一
WISH               作曲 井上鑑

全編曲 吉田兄弟・井上鑑

Produced by 吉田兄弟

All Songs Arrangement by 井上鑑・吉田兄弟

津軽三味観:吉田良一郎・吉田健一

音楽監督・KeyBoard:井上鑑

Drums:村石雅行
Bass:井上富雄
Violin:金子飛鳥
Guitar:古川昌義
尺八:山崎箜山
和太鼓 小泉謙一

CD:ソニーレコード SRCL 6526~7

 三味線は、中国の「三弦」を起源に持ち、沖縄から「三線」を改良した楽器として伝わって来たと言われている。そしてその後、日本を代表する楽器の一つにまで成長を遂げることになる。三味線には、「細棹」「中棹」「太棹」の3種類があるが、「細棹」は長唄や端唄、「中棹」は民謡、「太棹」は津軽地方の民謡(津軽三味線)に使われている。この三味線の演奏を現代の新しい感覚で捉え、そのダイナミックかつ繊細な感覚によって、日本国内に止まらず、アジア、アメリカ、ヨーロッパにまで津軽三味線のファン層を拡大させたのが“吉田兄弟”(兄の吉田良一郎と弟の吉田健一)である。、出身は、北海道登別市。津軽三味線全国大会などで数々の賞を受賞。1999年にアルバム「いぶき」でデビューし、10万枚を超すヒットとなった。2001年、「第15回日本ゴールドディスク大賞純邦楽アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞。“吉田兄弟”は、多数のオリジナル曲を作曲し、幅広い層にリスナーを広げて行った。その演奏活動は日本国内に止まらず、アジア、アメリカ、ヨーロッパにまで拡大し、日本の三味線文化を世界に広めることに貢献している。従来の三味線の演奏は、日本の伝統ある長唄や端唄、民謡に限られていたのだが、“吉田兄弟”は、それらの枠から飛び出し、ジャズやロックの要素なども取り入れた、斬新な趣の三味線文化を創造したのである。

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2014年6月21日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 24 筝


~春の海/箏の名曲~

春の海     宮城喜代子・筝/二世 青木鈴慕・尺八
さくら変奏曲   宮城数江・第一筝/小橋幹子・第二筝/菊地悌子・十七弦
瀬音        宮城数江・筝/菊地悌子・十七弦
落葉の踊り   宮城喜代子・三弦/宮城数江・筝/菊地悌子・十七弦
数え唄変奏曲  宮城数江・筝
さらし風手事   宮城喜代子・筝(低音)/宮城数江・筝(高音)
水の変態     宮城数江・歌・筝(本手)/宮城喜代子・筝(替手)

作曲:宮城通雄

CD:ビクター伝統文化振興財団 VZCG-510

 このCDは、宮城通雄作曲の筝(そう)の名曲が7曲収められているので、有名な筝曲を聴きたいというときには便利なCDである。日本人なら子供の頃から琴の音ぐらいは誰でも一度は聴いたことがある。ところが、「琴」と「筝」はどう違うのか?という問いに正確に答えられる日本人はあまり多くはないではないか。「箏」は、日本の伝統弦楽器であり、一般には「こと」と呼ばれ、「琴」の字を当てられるが、正式には「箏」が正しい。「琴(きん)」は別の楽器で、違いは、箏は柱(じ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節するのに対し、琴(きん)は柱が無い、ということなのだそうである。ことほど左様に日本人だから日本の歌や楽器は知っていると考えるのは、正しくないようだ。このCDに収められている「春の海」を作曲した宮城通雄(1894年ー1956年)は、神戸市生まれの作曲家・箏曲家で、十七絃の発明者としても知られている。14歳で第一作の箏曲「水の変態」を書き上げ、1919年、作曲家として正式にデビュー。古典楽器の改良や新楽器の開発を行い、十七絃、八十絃、短琴、大胡弓などを発明した。1929年に発表した「春の海」は、フランス人女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと競演し、世界的な評価を得た。そして「さくら変奏曲」にワルツが出てくるように、宮城通雄はクラシック音楽からも影響を受けて作曲活動を展開していた。1937年東京音楽学校(現東京藝術大学)教授就任、1948年日本芸術院会員、1950年第1回放送文化賞を受賞した。

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2014年6月19日

♪ 「日本の歌」のルーツを求めて 23 日本の民謡


~決定版 日本の民謡~

<ディスク:1>

そうらん節             初代 浜田喜一
江差追分(前唄・本唄・後唄)  初代 浜田喜一
北海盆唄                 江村貞一
津軽じょんがら節(新節)        橋本弥生
津軽山唄                 野呂義昭
津軽あいや節              三浦隆子
南部牛追唄               畠山孝一
秋田おばこ                佐藤サワエ
秋田船方節               須藤理香子
花笠音頭                 金沢明子
最上川舟唄               今泉侃惇
大漁唄い込み(「遠島甚句」入り)  鈴木正夫
長持唄                  鈴木 茂
さんさ時雨                藤 みち子
お立ち酒                 鈴木正夫
会津磐梯山                小杉真貴子
新相馬節                 鈴木正夫
相馬盆唄                 桃井可生
八木節             四代目 堀米源太
磯節                    藤 みち子

<ディスク:2>

木曽節                 江村貞一
小諸馬子唄              江村貞一
佐渡おけさ              小川竜翔
相川音頭           初代 浜田喜一
越中おわら節             加賀山 昭
帆柱起し音頭         初代 浜田喜一
山中節             三代目 米  八
郡上節(かわさき)           坪井三郎
串本節                  小杉真貴子
河内音頭                初音家賢次
安来節(男踊り歌)     二代目 出雲愛之助
音戸の舟唄          初代 浜田喜一
阿波踊り                峯野敏子
よさこい節               金沢明子
黒田節                 水戸祐二
おてもやん               市  丸
五木の子守唄             小杉真貴子
刈干切唄                佐藤 明
ひえつき節               那須 稔
鹿児島おはら節            前園とみ子

CD: 日本伝統文化振興財団(ビクターエンタテインメント) VZCG-8324~5

 日本には庶民の歌として全国各地に民謡があり、これまで歌い継がれてきた。これらの日本の民謡は、各地で自然発生的に生まれたというより、九州地方のハイヤ節が各地に唄い継がれ定着していったらしい。「ハイヤ」とは「南風(はえ)」と唄い出す民謡のことで、日本海沿岸から太平洋岸へ伝えられ、それが全国各地で、それぞれの郷土に合った民謡へと生まれ変わったのだという。戦後の一時期は“民謡ブーム”があり、ラジオからしょっちゅう全国各地の民謡が流れていたことを思いだす。このCDには、「そうらん節」をはじめ、誰もが知っている日本の代表的民謡が40曲収録されている。これらを聴き始めると、楽しく最後まで聴き通すことができる。やはり、日本人という共通する血が騒ぐのであろうか。クラシックの作曲家も、これまで日本の民謡を素材に多くの曲を作曲してきた。その中の一曲、外山雄三作曲「管弦楽のためのラプソディ」には、「あんたがたどこさ」「ソーラン節」「炭坑節」「串本節」などが採り込まれているが、NHK交響楽団が海外公演で演奏すると、現地の聴衆に大いに受けたという。イタリアに「カンツォーネ」があるように、日本には「日本の民謡」があるのである。

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2014年6月16日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 22 エルンスト・ヘフリガー(ドイツ語による「日本の歌」)


野薔薇                山田耕筰・曲
中国地方の子守歌  山田耕筰・編
夏の思い出       中田喜直・曲
浜千鳥          弘田龍太郎・曲
ゴンドラの唄      中山晋平・曲
ちいさい秋みつけた  中田喜直・曲
AIYANの歌       山田耕筰・曲
宵待草          多忠亮・曲
叱られて         弘田龍太郎・曲
漁夫の娘        山田耕筰・曲
愛する人に          同
あわて床屋          同
唄                同

テノール:エルンスト・ヘフリガー(ドイツ語歌詞)

ピアノ:イリーナ・ニキーティナ

ドイツ語訳:村上紀子、マルグリット・畑中

 このCDは、スイス出身の名テノール歌手であったエルンスト・ヘフリガー(1919年ー2007年)が、ドイツ語訳された「日本の歌」を録音した貴重なCDである。ヘフリガーは、チューリッヒ音楽院で声楽とヴァイオリンを学び、1942年、バッハの「ヨハネ受難曲」のエヴァンゲリストを歌ってコンサート歌手としてデビュー。その後、ベルリン・ドイツ・オペラの首席リリック・テノールを務め(1952年~1974年)、同時にミュンヘン音楽大学の声楽科教授に就任し後輩の指導も当たった(1971年~1988年)。さらに日本では、草津国際音楽アカデミー&フェスティバルで長年に渡りマスタークラスで指導もした。1950年~1960年代が全盛時代で、この時、ヘフリガーは戦後のドイツオペラにおける代表的テノール歌手の地位を確立した。1966年ベルリン・ドイツ・オペラと共に初来日し、以後しばしば日本を訪れた親日家でもあった。ヘフリガーがドイツ語による「日本の歌」を歌うきっかけは「日本へは何回も来て、お世話になっている。その感謝の気持ちを歌で表わしたい」からだったという。このCDのプロデュースは息子のミヒャエル、ピアノ伴奏は息子の妻のイリーナ・ニキーティナが担当するなど、ヘフリガー一家挙げての親日家ぶりを窺わせる。

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2014年6月12日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 21 グレッグ・アーウィン(英語による「日本の歌」)


I’m Longing for Spring   早春賦
Song of the Seashore   浜辺の歌
Tangerine Hill         みかんの花咲く丘
Moon Over the Desert   月の砂漠
The Blue-Eyed Doll     青い眼の人形
Shojoji              証城寺の狸囃子
Scolded Child         叱られて
This Old Road         この道
Autumn in the Country  里の秋
Dragonflies           赤とんぼ
My Country Home      故郷
Sunayama            砂山

歌:グレッグ・アーウィン(英語による歌/歌詞の英訳)

CD:ビクターエンタテイメント VICL-61131

 グレッグ・アーウィンは、アメリカ・ウィスコンシン州出身。ウィスコンシン州立大学で音楽、ミネソタ大学で演劇、その後、ハワイ大学の日本語学科を卒業。来日後、童謡や唱歌に関わる数多くのコンサートやイベントに参加。テレビ・ラジオの出演、CD制作など精力的な活動を展開。1995年初の童謡コンサートを開催した後、1998年ニューヨークで日本の児童音楽を紹介。“童謡の伝道師”とも呼ばれ、これまで様々な日本の童謡・唱歌を英訳し、自ら歌っている。2002年日本童謡協会「童謡文化賞」、同年日本大衆音楽協会「ミュージックフェスティバル童謡部門グランプリ」受賞など数多くの受賞歴を持つ。このCDのライナーノートでグレッグ・アーウィンは次のように書いている。「来日後しばらくして、『童謡・唱歌』の英語訳を依頼されました。初めて聴くジャンルの音楽でしたが、歌詞を聴き意味を理解するにつれ、そこに収められたメッセージと美しいメロディーに心を動かされていきました。日本と日本の人たちが私の心をとらえる何かがすべてそこに描かれていたからです。日本人の『心』を理解する手がかりを音楽に見つけたのでした。・・・収録曲のメインテーマである“幼年時代と望郷”は必ずや私たちの傷ついた心と魂に通じる扉の鍵を下ろし、その扉をそっと開いてくれることでしょう」

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2014年6月11日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 20 李 広宏(日本語と中国語による「日本の歌」)


早春賦
夏の思い出
赤とんぼ
月の砂漠

故郷
みかんの咲く岡
雪の降る町を
宵待草
紅葉
荒城の月
里の秋
この道
かあさんの歌
浜辺の歌
蘇州夜曲

歌:李 広宏(日本語と中国語の歌/中国語訳)

書名:唱歌・童謡で学ぶ  伝え続けたい日本のこころ
著者:二宮 清・李 広宏
発行:五月書房

 これは、書籍「唱歌・童謡で学ぶ  伝え続けたい日本のこころ」(二宮 清・李 広宏著/五月書房)の付録のCDで、関西を拠点に世界の舞台で活躍する李 広宏が歌う、16曲の「日本の歌」が収録されている。同書の内容は、日本が世界に誇れる唱歌・童謡の文化を、これからどう受け継いでいくかを、四十年来“歌のふる里”を調べ歩いてきた二宮 清の豊かな文章で綴ったもの。二宮 清は、2000年にダイキン常務取締役に就任し、現在、同社嘱託。唱歌・童謡の研究にも力を注いでおり、その曲のゆかりの地、誕生の地を訪ねての調査活動を四十年来継続している。一方、李 広宏は、1961年中国蘇州生まれ。16歳の時に中国伝統劇の滬劇(こげき)俳優になり、1987年来日。「日本の歌」を深く愛し、1999年、第1作のCD「中国語で歌う日本の心の歌」を発表した。現在、西宮市在住。

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2014年6月09日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 19 ヨゼフ・スーク


~スーク/日本のメロディー~

お江戸日本橋    日本古謡
ちんちん千鳥     近衛秀麿・曲
出船          杉山長谷夫・曲
からたちの花     山田耕筰・曲
平城山         平井康三郎
中国地方の子守歌 日本古謡/山田耕筰・曲
五木の子守歌    日本古謡
宵待草         多 忠亮・曲
城ケ島の雨      梁田 貞・曲
さくらさくら       日本古謡
荒城の月       滝廉太郎・曲
初恋          越谷達之助・曲
浜辺の歌       成田為三・曲
この道         山田耕筰・曲

編曲:南 安雄

ヴァイオリン/ヴィオラ:ヨゼフ・スーク

ヴァイオリン:オルドジフ・ヴェルチェク(平城山)

管弦楽:プラハ室内管弦楽団(リーダー:オルドジフ・ヴェルチェク)

録音:1988年7月4日~7日、スプラフォン・ノヴォドゥヴォルスカ・スタジオ

CD:日本コロムビア CO3201

 これは、チェコの名ヴァイオリニストのヨゼフ・スーク(1929年―2011年)が「日本の歌」をヴァイオリンとヴィオラで演奏した珍しいCDである。どのような経緯でこの録音が行われたかは定かではないが、生前、ヨゼフ・スークは度々来日した親日家であったことは事実で、これが切っ掛けで録音が行われたと推察できる。ヨゼフ・スークは、ドヴォルザークの曾孫で、同じ名前の作曲家の孫でもあるという恵まれた音楽環境の中で育った。プラハ音楽院卒業後は、プラハ四重奏団の第1ヴァイオリン奏者となり、さらに23歳の時には、親友のヤン・パネンカ、ヨゼフ・フッフロと共に「スーク・トリオ」を結成。その後、ソリストとしての活動も強化、1959年には世界一週ツアーを敢行し、その時、初来日している。その後、日本を気に入ったスークは、ソリストとして、あるいはトリオの一員としてしばしば来日し、心のこもった演奏で日本の聴衆に深い感銘を与え、多くのファンを有していた。スークの演奏は、端正で音色が美しいということに加え、気品のある抒情性と深い精神性が感じられる演奏内容が特徴だった。この辺が「日本の歌」との接点となったのではないかと思われる。このCDでのスークの演奏は、日本の抒情歌や日本の古謡を、心からの共感を持って演奏しているのが印象的。

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2014年6月08日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 18 美空ひばり


悲しき口笛       藤浦 洸・詩/万城目 正・曲/田代与志・編
越後獅子の唄     西条八十・詩/万城目 正・曲・編
あの丘越えて     菊田一夫・詩/万城目 正・曲/松尾健司・編
リンゴ追分       小沢不二夫・詩/米山正夫・曲・編
津軽のふるさと    米山正夫・詩・曲・編
ひばりのマドロスさん 石本美由起・詩/上原げんと・曲・編
港町十三番地     石本美由起・詩/上原げんと・曲・編
浜っ子マドロス     星野哲郎・詩/石本美由紀・補詩/船村 徹・曲・編
哀愁波止場      石本美由起・詩/船村 徹・曲・編
無法松の一生     吉野夫二郎・詩/古賀政男・曲/佐伯 亮・編
悲しい酒        石本美由起・詩/古賀政男・曲/佐伯 亮・編
人生一路        石本美由起・詩/かとう哲也・曲/佐伯 亮・編
みだれ髪         星野哲郎・詩/船村 徹・曲/南郷達也・編
川の流れのように   秋元 康・詩/見岳 章・曲/竜崎孝路・編

 戦後(第2次世界大戦後)の日本を代表する歌手はと問われれば、今は既に年配となった多くの人々は、当時“歌謡界の女王”として君臨した美空ひばり(1937年ー1989年)の名を挙げるであろう。終戦直後の1946年、美空ひばりはNHKラジオ「素人のど自慢」に出場し、当時多くの国民に愛唱されていた「リンゴの唄」を予選で歌い、歌手人生のスタートを切った。1954年「ひばりのマドロスさん」で第5回NHK紅白歌合戦に初出場。1955年には江利チエミ、雪村いづみとともに東宝映画「ジャンケン娘」に出演するなど映画界のスターとしても人気を博した。1960年、「哀愁波止場」で第2回日本レコード大賞歌唱賞を受賞、この頃から“歌謡界の女王”と言われるようになり、丁度東京オリンピックと重なり、1965年にかけて「柔」が大ヒットし、この曲で1965年第7回日本レコード大賞を受賞する。以後「悲しい酒」「芸道一代」「真赤な太陽」と、立て続けにヒット作品を生む。しかし晩年になり、美空ひばりの体を病魔が襲い始め、1989年2月7日の福岡県北九州市小倉での公演が生涯最後のステージとなってしまった。この時は、廊下からステージに入る間の、わずか数センチの段差も1人では乗り越えられなかったほどの体で、全20曲を歌い終えたという。通算レコーディング曲数は、1,500曲(オリジナル楽曲517曲)に及んだ。没後の1989年には国民栄誉賞を受賞。美空ひばりは、まさしく戦後の日本を代表する不世出の大歌手であった。

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