2018年3月05日
ポルトガル出身の名女流ピアニストのマリア・ジョアン・ピリスが2018年をもって引退を表明しており、日本では4月に各地で行われる日本ツアーが最後の演奏会となりそうだ(教育活動は今まで通り今後も継続)。
ピリスは、1944年7月23日、ポルトガルのリスボンに生まれる。リスボン音楽院で学んだ後に、ドイツにおいてローゼル・シュミットとカール・エンゲルに師事。1970年「ベートーヴェン生誕200周年記念コンクール」に優勝して以後、国際的な活動を開始した。ソリストとしてはもとより室内楽活動も好んで取り組んできた。大の親日家で最近までしばしば来日を果たし、日本でのファンも多い。
ピリスの紡ぎだすピアノの音は、限りなくピュアな味わいを持つと同時に、凛とした芯の強い響きが人々を魅了してきた。一音一音が生命力を持ち、その背景には温かい人間性が豊かに広がる。そして静寂と躍動が程よいバランスを保っている。どことなく和の精神との共通性が感じられるのだ。こんなところが、日本に多くのファンを持つ理由の一つではないだろうか。
ここ10年間は、世界各地から集まった学生を対象に多くのワークショップを実施し、最近では、ベルギーのエリザベート王妃音楽大学でも教鞭を執り、後進の指導に当たっている。(蔵 志津久)
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~2018年日本ツアー マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル・スケジュール~
2018年4月8日(日) 岐阜 サマランカホール
4月10日(火) 高崎 シティギャラリー
4月12日(木) 東京 サントリーホール
4月14日(土) 大阪 ザ・シンフォニーホール
4月16日(月) 浜松 アクトシティ
4月17日(火) 東京 サントリーホール
4月20日(金) 東京 NHKホール
4月21日(土) 東京 NHKホール
4月24日(火) 川口 リリアホール
4月26日(木) 東京 浜離宮朝日ホール
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~マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル①~
ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番「悲愴」
ピアノソナタ第17番「テンペスト」
ピアノソナタ第32番
ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス
会場:サントリーホール
日時:2018年4月12日(木) 午後7時
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~マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル②~
モーツァルト:ピアノソナタ第12番K.332
ピアノソナタ第13番K.333
シューベルト:4つの即興曲Op.142 D.935
ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス
会場:サントリーホール
日時:2018年4月17日(火) 午後7時