クラシック音楽 日本の歌


バックナンバー 2014年5月29日

2014年5月29日

♪ 「日本の歌」のルーツを訪ねて 11 金子みすゞ


~みすゞのうた~

失くなったもの
寒のあめ

夕顔
空の鯉
空いろの花
魚の嫁入り
不思議な港

詩:金子みすゞ

作曲:浜 圭介

編曲:服部隆之

ソプラノ:佐藤しのぶ

テノール:佐野成宏

指揮:佐渡 裕

管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

録音:2007年2月26日~28日、杉並公会堂

CD:エーベックス・マーケッティング AVCL-25160

 童謡詩人の金子みすゞ(明治36年―昭和5年)は、山口県大津郡仙崎村(現・長門市)に生まれる。大正末期から昭和の初期にかけて、「大漁」「私と小鳥と鈴と」「お魚」「星とたんぽぽ」などの多くの優れた童謡詩を発表。当時、西条八十に「若き童謡詩人の中の巨星」とまで称賛を受けたが、26歳の若さで自ら命を絶った。その夜、階下で母と眠る娘を見入り「可愛い顔して寝とるね」と言って2階へ上がり、そのまま戻らなかった。まくら元には遺書があり、母へ「ふうちゃんのことよろしくお願いします」と書いてあったという。そんなこともあり、天才詩人金子みすゞは、長い間、世間から完全に忘れ去られてしまった存在であった。ところが、児童文学作家であり童謡詩人の矢崎節夫が、金子みすゞの作品を発掘し、1984年(昭和59年)に出版するや、多くの人が金子みすゞの詩の素晴らしさにふれることになった。最近では、東日本大震災の時に、「『遊ぼう』つていうと、『遊ぼう』つていふ。」(「こだまでせうか」)がテレビ放送され、多くの人に生きる勇気と感動を与えたことは、まだ記憶に新しい。これまでも金子みすゞの詩をもとに多くの作曲家が曲を書いているが、このCDは、新たに作曲家の浜 圭介が書き下ろした曲を、今、第一線で活躍している演奏家達が演奏したもの。このCDのライナーノートに浜 圭介は「みすゞさんの思うままに、自由にメロディを書かせてもらいました。生きてる事がこんなにも素晴らしいと思った事はありません」と書き記している。

コメント/トラックバック投稿 »