クラシック音楽 日本の歌


2016年6月15日

♪ 日本という自然の豊かな大地と心が育んだ稀有のシンガーソングライター    五輪真弓

五輪真弓

歌:五輪真弓

<ディスク:1>

作詩・作曲:五輪真弓

愛の約束

心の友
煙草のけむり

家路
雨宿り
運命 (さだめ)
約束
そして今は夢
ラブレター
風よ
微笑みは出会いと共に
Wind and Roses
時の流れに~鳥になれ~

<ディスク:2>

作詩・作曲:五輪真弓

恋人よ
潮騒
抱きしめて (愛は夢のように)
国境
さよならだけは言わないで
恋しても
残り火
合鍵
リバイバル
巴里の旅情
せめて愛を
瞼をとじて
ジャングルジム
少女
名もなき道

歌:五輪真弓

CD:ソニーレコード SRCL 5293~4

 五輪真弓の歌声を聴くと、何かほっとする気分に浸ることができる。五輪真弓は、リスナーに対して、決して剥き出しの感情をぶつけることはしない。むしろ自分自身の心の中に訴えかけるような、しみじみとした歌がほとんどだ。その意味では、五輪真弓は、東洋的と言おうか、純粋に日本的なシンガーソングライターなのだ。

 今、五輪真弓デビュー30周年を記念して発売された、このCD2枚組のアルバム「MAYUMI CLASSICS MAYUMI ITUWA」を聴き直して見ると、全ての曲がちっとも色失せておらず、新鮮な感覚に溢れていることに驚かされる。これらの曲は1970年~1990年に書かれたものだが、今聴いても一曲一曲が生き生きとリスナーに訴え掛けてくるのだ。五輪真弓は、シンガーソングライターなのだから当たり前のことかもしれないが、30曲全曲の作詩・作曲・歌を手掛けている。

 それらの中には、名曲でしかも名唱と言える曲が多く含まれている。このアルバムのライナーノートで五輪真弓が、「『時の流れに』コンサートツアー中に広島平和記念公園をおとずれたとき、深い感銘を受けて書いた歌」と書いている「Wind and Roses」に、私は深く心を動かされる。こんなにも美しく、そして悲しい歌があるのかと。原爆で亡くなられた方々の魂が、五輪真弓に乗り移って名曲「Wind and Roses」が出来上がったのではないかと思うほどだ。

 五輪真弓は、海外レコーディングを商業的に最初に成功させたことで知られ、日本の女性シンガーソングライターの草分け的存在であった。特に、1980年にリリースされたシングル「恋人よ」が大ヒットし、彼女の代表曲となり、その年の第22回日本レコード大賞で金賞を受賞した。五輪真弓は、日本という自然の豊かな大地と心が育んだ稀有のシンガーソングライターということなのであろう。(蔵 志津久)

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