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2015年4月09日

【2015年はシベリウス生誕150年―名曲・名盤⑧】



シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

ヴァイオリン:ヴィクトリア・ムローヴァ

指揮:小澤征爾

管弦楽:ボストン交響楽団

録音:1985年10月17日~19日、ボストン、シンフォニーホール

CD:日本フォノグラム(フィリップスレコード) 35CD‐525

 このCDは、1981年ヘルシンキのシベリウス国際コンクールの優勝者でロシア出身のヴィクトリア・ムローヴァと小澤征爾指揮ボストン交響楽団の共演で、ムローヴァのCDデビュー盤にあたるもの。シベリウス国際コンクールの優勝の翌年、ムローヴァはチャイコフスキー国際コンクールでも優勝を果たし、正に当時ヴァイオリンの女王と呼べるに相応しい地位にあった。ところが1983年、ヘルシンキから招待された機を捉え、ムローヴァはスウェーデンに亡命。さらにアメリカへ渡り、その後は世界的な場での大活躍となる。シベリウス:ヴァイオリン協奏曲は、シベリウスがヘルシンキから郊外のヤルヴェンパーの私邸「アイノラ」に移る直前に作曲された曲。ヘルシンキでの社交的な生活はシベリウスにとって決して幸福なものではなかったらしく、さらに当時耳の病気にも悩まされていた。そんな暗い気分の中でつくられたのが、このヴァイオリン協奏曲だ。曲全体を憂いを含んだ雰囲気が覆う。逆に、このことが古今のヴァイオリン協奏曲の名曲の一つとして、不動の地位にした要因にもなっているようだ。ここでのムローヴァは、小澤征爾指揮ボストン交響楽団のメリハリのある伴奏にも助けられ、陰影に富んだ、伸びやかな、そして滋味あふれる名演を聴かせる。

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