2010年10月11日
サティ:「ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)」は、少々風変りな作風で知られるサティの曲の中では、もっともポピュラーで、誰からにも愛されている小品です。スケーターが氷上をゆっくりと滑っているようでもあり、舞踏会で多くの人々が優雅な踊りを踊っているようでもあります。サティは1880年代の終わり頃にキャバレー「黒猫」のオーケストラの指揮者をしていたそうで、この曲はそんなカフェ・コンセール風な雰囲気に満ち溢れた楽しい曲です。
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エリック・サティ(1866年―1925年)は、フランスの作曲家。当時のフランス音楽界でも異端児的存在でしたが、その影響力は大きく、ドヴュッシーやラヴェルなどの作曲技法に少なからぬ影響を与えたと言われています。このような作風は、子供の頃によく聴いた教会でのオルガン音楽がそのルーツだと言われています。現在では、ピアノ曲の「3つのジムノペディ」「梨の形した3つの小品」などを中心に演奏され、再評価の動きもみられます。「ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)」は1897年頃に作曲されたもので、サティのカフェ・コンセールの歌の中でも最もよく知られた曲。