2013年3月15日
音楽の友社から「創設50周年記念 レコードアカデミー賞のすべて」(「レコード芸術」編)が発刊された。その昔、まだ駆け出しのクラシック音楽リスナーであった私とっては、月刊「レコード芸術」に毎月掲載されるレコードの「新譜月評」は、掛け替えのない道しるべであった。
音楽評論家の先生達が、毎月情熱をもって、新発売になったレコードを評価する文章を読むと、まだ聴いていないレコードでも、何か耳元で聴いているような錯覚に陥ることもあったほど。時々、辛辣な評価も載っていて、そんなところが、公正な評価であるという印象を受け、毎月楽しみにしていたのである。
レコードアカデミー賞とは、毎月の「新譜月評」の集大成として毎年1月号の掲載され、過去1年間で発売されたレコードの中から選ばれる。つまり、その年のレコードアカデミー賞に選ばれることは、権威ある音楽コンクールで第1位を獲得したことにも匹敵する、とでも言えようか。
毎年、12月に発売される1月号のレコードアカデミー賞を見て、その年を振り返ることもしばしばであった。言ってみればクラシック音楽版紅白歌合戦とでもいった趣だ。同書で過去を振り返り、同時に、将来の名盤の出現に期待しよう。特に、日本人の演奏家の受賞盤が今後増えることを念じながら。(蔵 志津久)