クラシック音楽 音楽の泉


2010年11月10日

♪ “山形交響楽団の挑戦”を飯森範親音楽監督に訊く ♪


 今、山形交響楽団が着実に観客動員数を伸ばしているという。07年シーズンから山形交響楽団の音楽監督に就任した飯森範親(いいもり のりちか)氏に、楽団経営の秘訣を聞く機会を得たのでその一端を紹介してみたい。

 飯森氏が音楽監督に就任にするに当たり、まず50項目からなるマニュフェストづくりからスタートさせたが、2年を経過した現在まで90%の達成率を成し遂げたというから凄い。まず、第一に取り上げたのが“楽団員の意識改革”だったという。例えば、聴衆の前では楽団員が互いに私語を交わすことを止めることにしたり、舞台上での調整も、聴衆にうまく行っていないのでは、と余計な不安を与えないため止めるなど、基本的なことから始まり、最終的には聴いた後に「チケット料金は安かった」と思わせるほど、充実した演奏内容の実現を目指すこととした。

 次に飯森氏が取り組んだのが、スポーツ団体とのコラボレーションだ。山形にはサッカーとバレーボールのプロの団体があるが、これらのサポーターとの交流によるチャリティー演奏会などを行い、地域密着の活動を地道に積み重ねていっさらに取り組んだのが、演奏会の会場で、演奏の前に聴き所のプレゼンテーションをすること。これにより聴衆の理解度も上がり、表情も掴めるようになった。山形放送のアナウンサーとソリストとのトークも行い、これも聴衆の拡大に大いに貢献しているという。

 交響楽団としては、初の取り組みとなった独自レーベル「YSO」による録音の事業化もファン拡大に貢献しつつある。最初は反対意見もあったが、楽団が独自に原盤を持つことによりコスト削減を実現させたメリットは大きいという。今後は、インターネット配信にも積極的に取り組む意欲を見せている。

 このほか、3月31日の?オーケストラの日”に先立ち、3月28日には、リハーサル見学会、親子による舞台裏見学会、楽器ごとに分かれたワークショップを行うなど、聴衆と一緒になった活動に意欲的だ。6月26日には山形物産展も併設した?さくらんぼコンサート”も計画。

 「1%の可能性も諦めるな。良くなる努力を!」と飯森氏は語る。これまで「メディア露出に努力した」(飯森氏)結果、?山響”は?おくりびとのオーケストラ”としても、その名を広く世界に知らしめることに成功したのだ。「今年は?山響”の?IT元年”とし、あらゆるIT化に取り組みたい」と意欲満々。「なによりも山形が大好き」という飯森氏の音楽監督としての手腕に、今多くの期待が集まっている。(蔵 志津久:10/3/22)

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