2010年10月17日
ブラームス:「ワルツ変イ長調」を聴くたびに不思議な思いに抱かれるのです。それはあの気難しいブラームスがこんなにも分かりやすく、誰もが親しめる優雅なワルツを書いたなんて俄かには信じられないからです。ゆっくりと滑るようにこのワルツが始まると、あたかも自分自身がどこかの宮殿の中でワルツを踊っているような気分に浸れるのです。ブラームスは、ウィーンに居を構え、ウィーンの空気を吸っていたからこそ、きっとこんな愛らしいワルツが書けたのでしょう。
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ブラームス(1833年―1897年)は、“ドイツ音楽の3大B”と称される大作曲家で、ハンブルグに生まれ、ウィーンに没しました。作風は伝統的な、構成ががっしりとした重厚な作品が多いのです。ロマン派全盛の真っ只中にありながら、伝統的な純音楽に固執し、ワグナー派に対して、ブラームス派と呼ばれる集団のリーダー的存在でした。この「ワルツ変イ長調」は、ピアノ連弾用に書かれた16曲のワルツ集の1曲です。