2010年10月06日
フォーレ:「夢のあとに」は、文字通り夢から覚めた時のような、現実とも夢とも定かでない不思議な感覚を音楽として味わうことができる。人生も過ごしてみれば、これは夢であったかもしれないと思うときがあるものだ。そんな非日常的感覚がヴェールのように全体を覆っており、それが独特の魅力を発散して止まない曲なのだ。
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ガブリエル・フォーレ(1845年―1924年)は、フランスの作曲家で、「レクイエム」などの人気作品を数多く作曲した。その作品は、人柄を反映したかのように、物静かで、気品が漂う曲となっている。この「夢のあとに」は20歳の頃の作品で、イタリアのトスカーナ地方に伝わる作者不詳の古い詩を翻訳したものに曲を付けた。フォーレにしては珍しく、愛しいひとへの情熱的思いが綴られている曲。