クラシック音楽 ニュース


バックナンバー 2011年 6月

2011年6月22日

◆アマチュアとして世界初の「名古屋マーラー音楽祭」が7月から後半の公演がスタート


 

 マーラー没後100年に当たる2011年1月に「名古屋マーラー音楽祭」がスタートして半年が経過したが、今後7月から12月まで後半の演奏スケジュールに入る。中京地域のマチュアオーケストラ、アマチュア合唱団の演奏会が予定されており、その成果に注目が集まっている。

 マーラーの10曲の番号付きの交響曲(後世の補作者による第10番全五楽章版を含む)ならびに交響曲と管弦楽伴奏による連作歌曲の融合といわれる「大地の歌」、そしてマーラーに多大な影響を与えながらも、不遇な運命により夭逝した若き作曲家ハンス・ロットの交響曲第1番を含めた全12曲を、1年がかりで番号順に演奏していくのが「名古屋マーラー音楽祭」の全容。

 第1部として、2011年1月16日から12月24日まで全部で11公演、そして第2部として、2012年7月15日、16日の2公演(交響曲第8番「千人の交響曲」、ゲスト指揮者:井上道義、合同演奏)が行われる。

 これは、きわめて壮大なプロジェクトであり、アマチュアとして世界初の企画となるもの。この「名古屋マーラー音楽祭」の運営のためNPO法人「名古屋音楽の友」が組織されている。

 実際の演奏については、名古屋を中心とし東海3県に在籍しているアマチュア・オーケストラが参加し、地元合唱団や音楽家の協力および愛知県芸術文化センターの支援も受けて実施していく。

 出演オーケストラは次の通り。第1番:デア・フェルネ・クラング、第2番「復活」:新名古屋交響楽団、第3番:名古屋ムジークフェライン管弦楽団、第4番:アンサンブル・エネルジコ、第5番:名久手フィルハーモニー管弦楽団、第6番「悲劇的」名古屋市民管弦楽団、第7番「夜の歌」:オルカ・フィルハーモニー管弦楽団、「大地の歌」:名古屋シュピールシンフォニカー、第9番:伊勢管弦楽団

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2011年6月19日

◆指揮者の秋山和慶が旭日小綬章、ヴァイオリン奏者の前橋汀子が紫綬褒章を受章


 2011年の春の授賞で、指揮者の秋山和慶が旭日小綬章、ヴァイオリン奏者の前橋汀子が紫綬褒章を受章した。

 秋山和慶は、1941年生まれ。故斎藤秀雄のもとで指揮法を修め、1963年に桐朋学園大学音楽学部を卒業。1964年2月に東京交響楽団を指揮してデビューののち同団の音楽監督・常任指揮者を40年間にわたり務める。これまでに第6回サントリー音楽賞(1975年)、芸術選奨文部大臣賞(1995年)、東京交響楽団とともに毎日芸術賞(1994年)、第8回京都音楽賞大賞(1993年)、モービル音楽賞(1996年)、第29回サントリー音楽賞(1997年)などを受賞。2001年11月には紫綬褒章を受章。現在、東京交響楽団桂冠指揮者、広島交響楽団音楽監督・常任指揮者、九州交響楽団首席指揮者・ミュージック・アドヴァイザーを務める。

 前橋汀子は、5歳から小野アンナにヴァイオリンを学び、その後、桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋学園高校を通じて斎藤秀雄、ジャンヌ・イスナールに師事。17歳で旧ソ連国立レニングラード音楽院(現サンクトペテルブルク音楽院)創立100年記念の一環として、日本人初の留学生に選ばれ、ミハイル・ヴァイマンのもとで3年間学んだ。その後、ニューヨーク・ジュリアード音楽院でロバート・マン、ドロシー・ディレイ等の指導を受け、さらにスイスでヨーゼフ・シゲティ、ナタン・ミルシテインの薫陶を受けた。2004年日本芸術院賞受賞、2007年第37回エクソンモービル音楽賞洋楽部門本賞受賞。現在、大阪音楽大学教授として後進の指導にもあたっている。

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2011年6月14日

◆大震災の被害を受けたミューザ川崎シンフォニーホールが長期間閉鎖


 ミューザ川崎シンフォニーホールは、今回の東日本大震災の影響によって、ホール内の天井仕上げ材等が落下し、これに伴い壁面・床面・客席の損傷という大きな被害を受けた。

 震災直後における同ホールの復旧に関する見通しとしては、「半年程度はホールでの公演開催は不可能」とし、半年程度での復旧を目指していた。しかし、同施設の所有者である川崎市から、「復旧工事の完了は平成24年度末を目途とする」との発表があり、今後2年余りの長期間、使用することができないことが明らかとなった。

 これは、ホールの復旧に向けて、被災状況や原因の究明に向けた調査を行い、その結果をホールの設計・施工に活かし、国際的に高い評価を得ている音響の復元と安全性の確保を図っていく、という同市の方針が打ち出されたため。

 ホールの休館期間中は、ミューザ川崎シンフォニーホールの主催・共催の公演、及び東京交響楽団の公演について、市内の音楽大学や公共施設等のホールなどで開催していくことになる。

 今回の同ホールの長期に渡る閉鎖は、地震が多発している日本の他のホールの安全維持のあり方に波紋を投げかけずにはおかないだろう。現在、多くのホールの天井には巨大なシャンデリアが設置されているが、巨大地震の際に大丈夫であろうか。地震国日本のホールは、それなりの安全への対策が打たれていなければなるまい。

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2011年6月11日

◆ピアニストの西村由起江が、使われていないピアノ500台を東日本大震災の被災地に送るプロジェクトに取り組む


 

 ピアニストの西村由起江が、東日本大震災の被災地に、使われていないピアノ500台を送る「スマイルピアノ500」に取り組んでいる。

 今回の大震災で失われたピアノの数は500台と言われているが、西村由起江は、「これまでの学校コンサートや病院コンサートでピアノのまわりに集った笑顔を知っている私が、立ち上がらない訳にはいかない」と思い、被災地にピアノの音を届けに行こうと決心したという。

 現在、家庭に眠っているピアノがたくさんあるといわれている。そのピアノを譲ってもらい、ピアノを失ってしまった被災地に届ける、というのが「スマイルピアノ500」プロジェクトの狙い。

 西村由起江は、「ピアノやピアノの音を届けることで、あの時の笑顔を取り戻してもらいたい」と言う。以前訪れた小学校のことを思い出すからだ。自宅で眠っているピアノを譲ってくれる人を全国から募集し、メンテナンスして被災地に届けようと言うのが「スマイルピアノ500」プロジェクトの趣旨であるが、「皆様の力を貸していただけたら幸せ」と語っている。

 詳細は、西村由起江のホームページへ。

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2011年6月02日

◆ニューヨーク・フィル音楽監督就任以後初来日の日系二世のアラン・ギルバートが7月17日、18日、東京都交響楽団を指揮


 2009年にニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の第25代音楽監督に就任した日系二世の米国人アラン・ギルバートが、就任後初の来日を果たし、2011年7月17日と18日、サントリーホールで東京都交響楽団を指揮する。

 アラン・ギルバートは、1967年ニューヨークに生まれ。父はニューヨーク・フィルの元ヴァイオリン奏者、母は現在ニューヨーク・フィルのヴァイオリニストを務める建部洋子。ニューイングランド音楽院でヴァイオリン、ハーバード大学で作曲、ジュリアード音楽院とカーティス音楽院で指揮を学ぶ。当初、ヴァイオリニストを目指すが指揮者に転向。これまで1994年、ジュネーブ国際音楽コンクール指揮部門優勝、Bunkamuraオーチャードホールの「未来の巨匠」賞、ゲオルグ・ショルティ賞などの受賞歴がある。

 ニューヨーク・フィルの音楽監督就任以前は、スウェーデンのロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団の首席指揮者を務めていたが、現在同楽団の桂冠指揮者。2003年―2007年にはサンタフェ・オペラの初代音楽監督を務めた。

 1942年横浜生まれの母、建部洋子さんは、1957年、1958年、16歳で日本音楽コンクールヴァイオリン部門で1位の実績を持っている。

 日系二世の指揮者アラン・ギルバートが、世界のヒノキ舞台のニューヨーク・フィルの音楽監督に就任し今後どのような活躍をみせるのか、今回の来日はそれを占うよい機会になりそうだ。

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