クラシック音楽 ニュース


バックナンバー 2021年 3月

2021年3月29日

◆ピアニストの遠山慶子が死去(享年87歳)


 ピアニストの遠山慶子が死去した。享年87歳。

 遠山慶子は、東京都文京区出身。1947年、第1回「全日本学生音楽コンクール」で東日本大会一等。審査委員長の野村光一から絶賛される。

 1952年、来日中のアルフレッド・コルトーの前で演奏する機会に恵まれる。コルトーに才能を認められて恵泉女学園高等学校を中退し、1954年8月に渡仏する。パリのエコールノルマル音楽院でコルトーに師事。1955年に同校を首席卒業、教授資格を取得する。

 1956年、第一生命ホールにおけるリサイタルで日本デビュー。1962年に子供を連れて再び渡仏。1963年にパリで海外デビューを果たす。「ロン・ティボー国際コンクール」および「ゲザ・アンダ国際コンクール」の審査員を務めた。夫は、音楽評論家の遠山一行(1922年―2014年)。

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2021年3月27日

◆第31回「日本製鉄音楽賞」、フォルテピアノの川口成彦とステージマネージャーの猪狩光弘が受賞


 第31回「日本製鉄音楽賞」は、フォルテピアノの川口成彦とステージマネージャーの猪狩光弘が受賞した。

 なお、受賞記念コンサートは、2021 年 7 月に開催予定。

                       ◇

【フレッシュアーティスト賞】 川口成彦(フォルテピアノ)

<贈賞理由>

 2018 年のショパン国際ピリオド楽器コンクール第 2 位入賞で広く知られる存在となったが、それ以前から確固たる音楽観での活動を展開しており、近年はコンサートや録音においてさらに視野の広い音楽表現を見せている。一般的な先入観からの“古楽器”という枠を超えた、それでいて揺るぎない基礎力からの音楽。豊かな感性と知識力ゆえ、益々楽しみな逸材である。(上田弘子選考委員)

【特別賞】 猪狩光弘 (ステージマネージャー)

<贈賞理由>

 猪狩さんは永年にわたってステージマネージャーとして演奏会を舞台裏から支え続け、細やかな配慮の行き届いた周到な仕事ぶりによって演奏家から絶対的な信頼を得てきた。サントリーホール在任中の功績はもちろんのこと、日本の楽壇全体に寄与してきたプロフェッショナルな裏方としての活動は高く評価されるべきであり、当音楽賞の特別賞にまことに相応しい。(寺西基之選考委員)

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2021年3月27日

◆第47回(2020年度)「日本ショパン協会賞」は、伊藤順一と藤田真央が受賞


 第47回(2020年度)「日本ショパン協会賞」は、伊藤順一と藤田真央が受賞した。

 同賞は日本ショパン協会が、各年におけるピアノ演奏会でショパン作品について特に優れた演奏を示したピアニストに贈るもの。

 贈呈理由としては、伊藤は豊洲シビックセンターホールで開かれた「伊藤順一ピアノソロリサイタル」(20/12/1)、藤田は東京オペラシティ コンサートホールでの「藤田真央ピアノ・リサイタル(20/9/17)、そこでのショパン演奏で示した成果に対して、また今後の活動への奨励として贈呈された。

 表彰は、5月24日から29日にかけてカワイ表参道で開催される「ショパン・フェスティバル2021 in 表参道」の期間中に贈呈される。

 伊藤順一は、1991年生まれ。東京藝術大学大学在学中に、パリ・エコールノルマル音楽院への奨学金を得て2011年よりフランスに渡る。パリ・エコールノルマル音楽院のコンサーティスト高等ディプロムをピアノ、室内楽共に満場一致の首席、審査員特別賞で修了。2014年パリのコルトーホールにてショパン プレリュードなどのプログラムでソロリサイタルを開催。その後パリ国立高等音楽院伴奏科、リヨン国立高等音楽院ピアノ科で研鑽を積む。2017年には2台ピアノで第91回「レオポルド・ベラン国際コンクール」において1位。その後ソロ活動やオーケストラとの共演を重ねた。2019年に帰国し、演奏活動と後進の指導を行っている。2019年第4回「日本ショパンコンクール」(主催:日本ショパン協会)第1位。2021年第47回(2020年度)「日本ショパン協会賞」受賞。
 
 藤田真央(1998年生れ)は、東京都出身。東京音楽大学で学ぶ。2013年第5回「ロザリオ・マルチアーノ国際ピアノコンクール」日本人初の第1位、併せてワーグナー・ヴェルディ賞を受賞。2015年第1回「若い音楽家のための珠海国際モーツァルトコンクール」ピアノ部門グループBで第1位。2016年第20回「浜松国際ピアノアカデミーコンクール」第1位。2017年第27回「クララ・ハスキル国際ピアノコンクール」第1位、併せて聴衆賞などの3つの特別賞受賞。これは日本人では河村尚子以来、3人目の優勝者。2019年第16回「チャイコフスキー国際コンクール」ピアノ部門第2位、2020年第21回「ホテルオークラ音楽賞」、第30回「出光音楽賞」、2021年第47回(2020年度)「日本ショパン協会賞」受賞。

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2021年3月25日

◆第22回「ホテルオークラ音楽賞」、葵トリオとカルテット・アマービレが受賞


 第22回「ホテルオークラ音楽賞」は、葵トリオ(ピアノ三重奏)とカルテット・アマービレ(弦楽四重奏)が受賞した。

                      ◇

葵トリオ (ピアノ三重奏団)

  ピアノ:秋元 孝介
  ヴァイオリン:小川 響子
  チェロ:伊東 裕

 葵トリオは、第67回「ARDミュンヘン国際音楽コンクール」のピアノ三重奏部門で、日本人団体として初の優勝を受賞した、現在最も注目を集めるピアノ三重奏団。東京藝術大学、サントリーホール室内楽アカデミーで出会い、2016年に結成。第28回「青山音楽賞」バロックザール賞、第29回「新日鉄住金音楽賞」フレッシュアーティスト賞受賞。現在はドイツを拠点に、ミュンヘン音楽・演劇大学でフォーレ四重奏団のD.モメルツに師事しながら国内外で活動している。

カルテット・アマービレ (弦楽四重奏団)

  ヴァイオリン:篠原 悠那
  ヴァイオリン:北田 千尋
  ヴィオラ:中 恵菜
  チェロ:笹沼 樹

 カルテット・アマービレは、2015年桐朋学園大学在籍中のメンバーにより結成される。第65回「ARDミュンヘン国際音楽コンクール」の弦楽四重奏部門第3位に入賞、あわせて特別賞(コンクール委嘱作品の最優秀解釈賞)を受賞。2019年11月には、ニューヨークで行われた「ヤングコンサートアーティスト国際オーディション」で第1位を獲得。マルタ・アルゲリッチ、クシシュトフ・ヤブウォンスキ、ダン・タイ・ソンらと共演するなど、今後の活躍が期待されているカルテットである。

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2021年3月24日

◆読売日本交響楽団のコンサートマスターに林 悠介が就任し4人体制へ


 読売日本交響楽団のコンサートマスターに、2021年4月から林 悠介が就任する。

 ヴァイオリンの林 悠介は、1984 年生まれ。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を首席で卒業後、ウィーン国立音楽大学、同修士課程を最優秀で修了。これまで、「ブレシア国際コンクール」におて日本人初の優勝をはじめ、「ルイス・シガーユ国際音楽コンクール」と「ウラルスク国際コンクール」で優勝、「ニールセン国際コンクール」第2位、「ハノーファー国際コンクール」や「メニューイン国際コンクール」に入賞。欧州各地やアジア、南米などでソロや室内楽で活躍している。12年からドイツに住み、同年から14年までノルトライン・ヴェストファーレン州立ノイエ・フィルの第1コンサートマスター、14年から17年までハノーファー北ドイツ放送フィルの副コンサートマスター、17 年から21年までヴッパータール響の第1コンサートマスターを務めた。

 読売日本交響楽団のコンサートマスターは、林 悠介の就任により、小森谷巧、長原幸太、日下紗矢子(特別客演コンサートマスター)とともに、4人体制になる。

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2021年3月22日

◆ドイツのオーボエ奏者ヘルムート・ヴィンシャーマンが死去(享年100歳)


 ドイツのオーボエ奏者のヘルムート・ヴィンシャーマンが死去した。享年100歳。

 ヘルムート・ヴィンシャーマンは、エッセンとパリでオーボエを学び、幾つかのオーケストラを歴任した後、ドイツ・バッハ・ゾリステンのオーボエソロイスト・指揮者として1960年代からバッハを始めとするバロック音楽の普及に努める。デトモルトの北西ドイツ音楽院教授として多くの門下を育てた。指揮者としての活動を続け、水戸室内管弦楽団などにしばしば客演した。2010年に来日し、「マタイ受難曲」「ロ短調ミサ」を指揮した。

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2021年3月22日

◆作曲家の尾高惇忠が死去(享年76歳)


 作曲家の尾高惇忠が死去した。享年76歳。

 尾高惇忠は、東京都出身。東京芸術大学音楽学部作曲科において、作曲を矢代秋雄、池内友次郎、三善晃、ピアノを安川加壽子に師事する。1966年3月同大学を卒業後、同年9月にフランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院へ入学し、1970年に卒業。2011年に退任するまで東京芸術大学音楽学部作曲科教授を務めた。父は作曲家・指揮者の尾高尚忠、母はピアニストの尾高節子。弟に指揮者の尾高忠明がいる。妻は声楽家の尾高綾子。実業家の渋沢栄一は曾祖父に当たる。

 主要作品は、オーケストラのための「イマージュ」(第30回尾高賞、1981年度)、弦楽四重奏曲、オーケストラのための肖像、混声合唱とオーケストラのための「光の中」、オルガンとオーケストラのための幻想曲(別宮賞、2001年度)、ピアノ・ソナタ、交響曲〜時の彼方へ〜(第60回尾高賞、2012年度)、アンリ・シャランの主題による“ファンファーレ・フーガ・コラール” 〜吹奏楽のための〜。

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2021年3月21日

◆第52回(2020年度)「サントリー音楽賞」、作曲家の三輪眞弘が受賞


 第52回(2020年度)「サントリー音楽賞」は、作曲家の三輪眞弘が受賞した。

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 作曲家の三輪眞弘は、1958年東京生まれ。1978年に渡独、国立ベルリン芸術大学で作曲をイサン・ユンに、1985年より国立ロベルト・シューマン音楽大学でギュンター・ベッカーに師事。1980年代後半からコンピュータを用いた作曲の可能性を探求し、特にアルゴリズミック・コンポジションと呼ばれる手法で数多くの作品を発表。また、様々な分野のアーティストとのコラボレーションに加え、CD制作、著作活動など、その活動は多岐に渡る。1985年「ハムバッヒャー国際作曲コンクール」佳作、1989年第10回「入野賞」第1位、1991年「今日の音楽・作曲賞」第2位、1992年第14回「ルイジ・ルッソロ国際音楽コンクール」第1位、1995年「村松賞」新人賞、2004年オーケストラのための「村松ギヤ・エンジンによるボレロ」で「芥川作曲賞」、2010年度第61回「芸術選奨」文部科学大臣賞を受賞。2001年より情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授。

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2021年3月19日

◆日本音楽著作権協会、音楽教室における請求権不存在確認訴訟の判決に反論


 日本音楽著作権協会(JASRAC)は、音楽教室における請求権不存在確認訴訟(控訴審)の判決についてのコメントを次の通り発表した。

                      ◇

 音楽教室事業者(一審提起時合計253名)が日本音楽著作権協会(JASRAC)を被告として提起した訴訟につき、2021年3月18日、知的財産高等裁判所(第4部・菅野雅之裁判長)は、一審判決を変更する旨の判決を言い渡した。

 JASRACは、演奏利用の態様(教師が演奏するか、生徒が演奏するか、録音物を再生するか)にかかわらず、音楽教室における音楽著作物の利用主体は音楽教室事業者だと主張していた。

 しかし、判決は教師の演奏および録音物の再生については音楽教室事業者が利用主体であるとしたものの、生徒の演奏については音楽教室事業者が利用主体であるとはいえず、物理的に演奏行為を行っている生徒が利用主体であると判断し、この部分につき原判決を変更した。

 JASRACは、この結果を承服することができないため、判決文を精査したうえで、上告を含めしかるべき対応を検討する。

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2021年3月18日

◆令和2年度(第77回)「日本芸術院賞」、指揮者の小林研一郎が受賞


 日本芸術院は、令和2年度(第77回)「日本芸術院賞」の授賞者(音楽分野)を以下のとおり決定した。

                      ◇

【恩賜賞】       
 
日本芸術院賞   指揮・作曲   小林研一郎(80歳)

 長年にわたる音楽芸術文化全体に及ぶ,幅広く卓越した活動に対して

 指揮の小林研一郎(1940年生まれ )は、東京藝術大学指揮科を卒業。1974年第1回「ブダペスト国際指揮者コンクール」第1位、特別賞を受賞。1987年から1997年までハンガリー国立交響楽団(現ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団)の常任指揮者、音楽総監督(GMD)を務め、現在は桂冠指揮者。日本では、東京交響楽団首席客演指揮者、東京都交響楽団正指揮者、京都市交響楽団常任指揮者、日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督・桂冠指揮者などを歴任。ハンガリー・ブダペスト交響楽団名誉指揮者。                 
        

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