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2014年6月14日

◆エル・システマジャパン、岩手県大槌町と協力し「大槌子どもウインドオーケストラ」スタート


 ベネズエラを発祥とする音楽教育機関「エル・システマ」の日本法人であるエル・システマジャパンは、このほど子供たちへの音楽支援を行うことで、岩手県上閉伊郡大槌町と協力協定書に調印した。

 大槌町は、東日本大震災では、人口あたりの死者・行方不明者数で東北三県被災自治体の中でも最悪と言える深刻な被害を受け、今でも多くの子どもたちが、仮設住宅、仮設校舎での生活を余儀なくされている。

 そんな中で、地域の人々の音楽にかける思いはとても強く、槌音プロジェクトを始めとする様々なチャレンジが音楽関係者の協力のもとに始まっている。

 今回締結された協力協定に基づき「大槌子どもウインドオーケストラ」がスタートするが、エル・システマジャパンは、まずは既存の学校クラブ活動(金管バンド、吹奏楽部、音楽部)への指導者派遣、楽器支援から始めることにしている。そして、保育・幼稚園や学童保育を通した、すべての子どもたちの居場所づくりにもなるような実践的な弦楽器、音楽プログラムの開発も含めて、大槌独自のエル・システマの枠組みを作って行く方針。

 エル・システマジャパンは、日本国内において「エル・システマ」の理念に基づき、音楽や他の芸術活動を通し、子どもの自己実現の場の拡充を推進することを目的とし設立された。困難な立場にある子どもたちが参加できる子どもオーケストラ設立のための支援を、福島県相馬市から始め、将来的には、日本各地に展開、その活動を通して、子どもたちが、より積極的に自己実現をはかり、社会のための行動を起こせるような環境を整備していく予定。

 エル・システマジャパンは、2012年4月より福島県相馬市立中村第一小学校器楽部へバイオリン専門家を派遣、また楽器の購入・修繕等の支援活動をスタートさせた。そして2013年2月には、エル・システマジャパンの支援が入っている学校 の子ども達157人が一同に会する「ジョイントコンサート」を開催。現在で は、未就学児や高校生を含む約90人の子どもたちが、弦楽オーケストラのメンバーとして日々練習に励んでいる。また、コーラスも、市立桜丘小学校合唱部をベースに中学生の合唱部OB・OGが加わった形での活動がはじまり、2013年12月には震災後再建された新市民会館において、135名の「相馬子どもオーケストラ&コーラス」のデビュー公演が行われた。

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