クラシック音楽 ニュース


2025年3月19日

◆HIMARI、英デッカと史上最年少の女性アーティストとして独占契約


 英デッカ・クラシックスが、13歳の日本人ヴァイオリニストHIMARIとの独占契約を発表した。HIMARIは、名門英国レーベル史上最年少の女性アーティストとなった。

 5月23日にリリース予定のデビューCD(EP)に先駆け、フランツ・ワックスマン「カルメン幻想曲」とエイミー・ビーチ「ロマンス」の2曲が先行配信される。

 HIMARIは、3月20日~22日に開催されるベルリン・フィルの定期公演で、ヴィエニヤフスキの「ヴァイオリン協奏曲第1番」を演奏する。全3公演はすでに完売し、22日の公演はデジタル・コンサートホールにてライブ配信される。

 既にHIMARIは、公式YouTubeで10万人フォロワー以上&数百万再生を記録しており、英国Classic FM「2025年ライジング・スター」にも選出されている。

 ヴァイオリンのHIMARI(吉村妃鞠<よしむら ひまり>、2011年生まれ)は、東京都出身。父は作曲家・シンセサイザー演奏家の吉村龍太、母はヴァイオリニストの吉田恭子。3歳からヴァイオリンを始め、6歳でプロのオーケストラと共演を果たす。慶應義塾幼稚舎入学。2018年6歳時に「レオニード・コーガン国際ヴァイオリンコンクール」第1位、同年7歳時に「グリュミオー国際ヴァイオリンコンクール」に最年少で出場し第1位、第15回「リピンスキ・ヴィエニヤフスキ国際ヴァイオリンコンクール」で史上最年少・特賞グランプリ。このほか「モントリオール国際MINI Violin」「グリュミオー国際」「ポスタッキーニ国際」「シェルクンチク国際コンクール」など、7歳から欧州等のコンクールに挑戦しつづけ、8歳までに39のコンクールで第1位を獲得し、各賞の史上最年少優勝記録を更新し続けた。2019年ザハール・ブロン門下生となる。2021年「慶応義塾塾長賞」を受賞。2022年カーティス音楽院に最年少で合格。同年より拠点をアメリカ(フィラデルフィア)に移し、現在、国内外で活動中。2025年3月20日、21日、22日に行われるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会において、ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番をベルリン・フィルと共演することになっており、いよいよ世界の檜舞台へ登場となる。

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2025年3月08日

◆第23回(2024年度)「齋藤秀雄メモリアル基金賞」、チェロ部門が北村 陽、指揮部門が太田 弦が受賞


 第23回(2024年度)「齋藤秀雄メモリアル基金賞」はチェロ部門が北村 陽、指揮部門が太田 弦が受賞した。今回の受賞者はチェロ部門、指揮部門ともに歴代最年少受賞となる。

 チェロの北村 陽(2004年生まれ)は、兵庫県出身。堤剛、山崎伸子各氏に師事。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースに在籍。2023年よりベルリン芸術大学にてイェンス=ペーター・マインツ氏に師事している。2024年に「エネスク国際コンクール」チェロ部門で日本人初の優勝を果たし注目を集めた。これまでに2017年「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」優勝、2022年「ハチャトゥリアン国際コンクール」第2位、2023年「ヨハネス・ブラームス国際コンクール」優勝、同年「日本音楽コンクール」チェロ部門優勝、併せて岩谷賞(聴衆賞)、増沢賞、黒栁賞、徳永賞、INPEX賞受賞。2024年「パブロ・カザルス国際賞」優勝。これまで小林研一郎、高関健、大友直人、藤岡幸夫、山田和樹らの指揮により、国内多数の楽団と共演。

 指揮の太田 弦(1994年生れ)は、北海道札幌市出身。東京芸術大学音楽学部指揮科を首席で卒業。学内にて「安宅賞」「同声会賞」「若杉弘メモリアル基金賞」を受賞。2015年第17回「東京国際音楽コンクール〈指揮〉」で第2位ならびに聴衆賞を受賞。2022年「渡邉暁雄音楽基金音楽賞」受賞。指揮を尾高忠明、高関健の両氏、作曲を二橋潤一氏に師事。山田和樹、パーヴォ・ヤルヴィなどの各氏のレッスンを受講する。これまでに読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、群馬交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団などを指揮。2019年4月から2022年3月まで大阪交響楽団正指揮者を務めた。2023年4月より仙台フィルハーモニー管弦楽団指揮者、2024年4月より九州交響楽団首席指揮者に就任。2024年に「太田弦 九州交響楽団首席指揮者就任記念コンサート」として開催した第420回定期演奏会のライブ録音のCDがオクタヴィア・レコードよりリリース。

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2025年3月05日

◆令和6年度(第75回)芸術選奨、阪哲朗、北村朋幹、広上淳一、片山杜秀が受賞  


 令和6年度(第75回)芸術選奨受賞者が次の通り発表された。

 音楽部門の大臣賞で指揮者の阪哲朗、音楽部門の新人賞でピアニストの北村朋幹、芸術振興部門の大臣賞で指揮者の広上淳一、評論部門の大臣賞で片山杜秀がそれぞれ受賞した。

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2025年2月18日

◆第72回「尾高賞」、権代敦彦作曲「時と永遠を結ぶ絃~ヴァイオリンとオーケストラのための~が受賞


 第72回「尾高賞」は、権代敦彦作曲「時と永遠を結ぶ絃~ヴァイオリンとオーケストラのための~(愛知室内オーケストラ委嘱作品)が受賞した。

 同作品は、2024年2月28日、三井住友海上しらかわホールにおいて、辻 彩奈のヴァイオリンと愛知室内オーケストラによって世界初演される。

 NHK交響楽団「尾高賞」は、故・尾高尚忠氏の生前の音楽界に遺した功績を讃えて1952年(昭和27年)に制定され、今年で第72回を迎える。今回は、国内58の音楽団体、音楽大学等に推薦を依頼し、13団体から26曲の推薦があり、選考委員による慎重審議の結果、授賞作品を決定した。

 なお、第72回「尾高賞」の贈呈式と受賞作品の演奏は、6月26日(木)東京オペラシティ コンサートホールで開催される「Music Tomorrow 2025」(指揮:イェルク・ヴィトマン)で行われる。

                     ◇

 作曲家の権代敦彦(1965年生まれ)は、東京都出身。桐朋学園大学作曲科卒業、同大学研究科修了。DAAD(ドイツ学術交流会/西ドイツ政府)奨学生として、フライブルク音楽大学現代音楽研究所に留学。文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリ・IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)でコンピュータ音楽を研究、実践。1994年よりイタリアのチッタ・ディ・カステッロ市の芸術奨学金を得て同地にて研修。1985年文化庁舞台芸術創作奨励特別賞、1987年第56回日本音楽コンクール作曲部門第1位、1991年ヴァレンティーノ・ブッキ国際作曲コンクール第1位、1996年芥川作曲賞、1996年出光音楽賞、1999年中島健蔵音楽賞、2002年芸術選奨文部科学大臣新人賞、2016年第64回尾高賞を受賞。

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2025年1月30日

◆NHK交響楽団、2025年4月から長原幸太が第1コンサートマスターに就任


 NHK交響楽団では、2025年4月から長原幸太が新たに第1コンサートマスターに就任し、現・第1コンサートマスターの郷古廉、現・ゲスト・コンサートマスターの川崎洋介とともに、3人体制で臨む。

 篠崎史紀は、2025年3月末をもって特別コンサートマスターを退任し、N響を退団する。

 ヴァイオリンの長原幸太は、広島県呉市出身。5歳よりヴァイオリンを始める。東京藝術大学附属音楽高等学校を経て東京藝術大学入学。在学中、全額スカラシップを受けジュリアード音楽院へ留学。13歳で第6回「ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール」17歳以下の部第3位。17歳で第67回「日本音楽コンクール」最年少優勝、併せてレウカディア賞、鷲見賞、黒栁賞を受賞。12歳で東京交響楽団と共演し、以後国内の主要オーケストラと共演。「ひろしまフェニックス賞」「メイプル賞(広島県教育委員会)」「咲くやこの花賞(大阪市)」「広島文化賞新人賞」「第21回新日鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞」など、受賞多数。2004年9月から2006年3月まで大阪フィルハーモニー交響楽団首席客演コンサートマスター、2006年4月から2012年3月まで大阪フィルハーモニー交響楽団首席コンサートマスター、2014年10月から2024年9月まで読売日本交響楽団コンサートマスターを務める。2025年4月からNHK交響楽団第1コンサートマスターに就任。現在、ソリスト、室内楽奏者としても国内外で活躍中。洗足学園大学非常勤講師、各種セミナーの講師を務める等、後進の指導も行う。

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2025年1月27日

◆指揮者の秋山和慶が死去(享年84歳)


 指揮者の秋山和慶が1月26日、肺炎で死去した。享年84歳。

 秋山和慶は、デビュー60周年を迎え、2024年12月31日の演奏会で指揮を執った。その翌日の2025年1月1日、自宅で転倒して、頸髄損傷の大けがを負い、1月23日に指揮者引退を発表していた。

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2025年1月23日

◆指揮者の秋山和慶、引退を発表


 指揮者の秋山和慶(84歳)が1月23日、指揮者を引退することを発表した。

 1月1日に自宅で転倒し、手足に後遺症が残っており、現在入院中。

 指揮の秋山和慶(1941年生れ)は、桐朋学園大学音楽学部で学ぶ。1964年東京交響楽団を指揮してデビュー。バンクーバー交響楽団音楽監督(現在桂冠指揮者)、アメリカ交響楽団音楽監督、シラキューズ交響楽団音楽監督(現在名誉指揮者)を歴任。日本では、東京交響楽団音楽監督・常任指揮者、大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者、札幌交響楽団ミュージック・アドバイザー・首席指揮者を歴任。現在は、東京交響楽団桂冠指揮者、広島交響楽団音楽監督・常任指揮者(現・終身名誉指揮者)、九州交響楽団桂冠指揮者、中部フィルハーモニー交響楽団芸術監督・首席指揮者。 第6回「サントリー音楽賞」(1974年)、「モービル音楽賞」(1996年東京交響楽団と受賞)、「紫綬褒章」(2001年11月)、「旭日小綬章」(2011年6月)、「文化功労者」(2014年)など受賞(受章)。

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2025年1月22日

◆ピアニストで作曲家の藤井一興が死去(享年70歳)


 ピアニストで作曲家の藤井一興が死去した。享年70歳。

 藤井一興(1955年―2025年)は、東京都出身。東京芸術大学3年在学中、フランス政府給費留学生として渡仏。パリ国立高等音楽院にて作曲科、ピアノ伴奏科ともに1等賞で卒業。パリ・エコール・ノルマルにてピアノ科を高等演奏家資格第1位で卒業。その間、作曲をオリヴィエ・メシアン、ピアノをイヴォンヌ・ロリオ、マリア・クルチォ、ピアノ伴奏をアンリエット・ピュイグ=ロジェに師事。

 世界各地、日本国内にてリサイタル、室内楽、コンチェルトのほか、フランス国営放送局を始めとするヨーロッパ各地の放送局や日本のNHKなどで多くの録音、録画と幅広い活動を行った。レコード・CDでは世界で二例目にあたるメシアンのニワムシクイのLPやイゴール・マルケヴィッチ作品集LP、武満徹作品集CDなどを録音。

 また、作曲家としてもフランス文化省から委嘱を受け、その作品が演奏会や国際フェスティバルで演奏・録音されている。世界初のフォーレのピアノ全集の校訂を担当し、全巻を春秋社より出版。東邦音楽大学大学院大学特任教授、東邦音楽総合芸術研究所特任教授、東京芸術大学、桐朋学園大学各講師を務めた。

 1976年「ラ・ロシェル国際現代音楽オリヴィエ・メシアン・コンクール」第2位、1979年パリの「ブラジル・ピアノ曲コンクール」第1位、1980年「クロード・カーン国際ピアノコンクール第1位」、1980年 – リナ・サラ・ガッロ・モンツァ国際ピアノコンクール第1位、1981年「マリア・カナルス・バルセロナ国際音楽演奏コンクール」ピアノ部門第2位、及びスペイン音楽賞、1982年 – 第10回「京都音楽賞」実践部門賞受賞。

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2024年12月15日

◆作曲家の間宮芳生が死去(享年95歳)


 作曲家の間宮芳生が死去した。享年95歳。

 間宮芳生は、北海道旭川市生まれ、青森県青森市育ち。東京音楽学校(現:東京芸術大学)作曲科にて池内友次郎に師事。1953年、外山雄三、林光と共に「山羊の会」を結成する。1970年代、谷川雁が創設したラボ教育センターの物語テープに音楽を提供。1981年「十代の会」の発起人の一人として同会創立に参加。

 受賞歴は次の通り。1950年「チェロ・ソナタ」で第19回日本音楽コンクール作曲部門第3位。1957年「八面の箏と室内管弦楽のための協奏曲」で芸術祭奨励賞受賞。958年「合唱のためのコンポジション」で毎日音楽賞受賞。1959年「ヴァイオリン協奏曲」で毎日芸術賞受賞。1966年、「オーケストラのための2つのタブロー’65」で第14回尾高賞受賞。1971年「ピアノ協奏曲第2番」で第19回尾高賞受賞。1978年「管弦楽のための協奏曲」で第33回芸術祭優秀賞受賞。1992年紫綬褒章受章。1999年勲四等旭日小綬章受章。

 日本各地の囃子詞やアフリカや北欧の民俗音楽、前衛ジャズなど幅広いジャンルの響きからインスピレーションを得て数多くの曲を手がけた。放送用オペラ「鳴神」は、欧州のコンクール「ザルツブルクテレビオペラ賞」でグランプリになり、その後、市川團十郎の演出で舞台上演された。2009年、倉橋由美子の近未来小説が原作のオペラ「ポポイ」を制作し、自らの指揮で上演した。高畑勲監督の映画「火垂るの墓」や大河ドラマ「竜馬がゆく」など、映画やテレビドラマの音楽も数多く手がけた。静岡音楽館AOIの初代芸術監督をつとめ、地方からの文化発信にも尽力した。音楽評論家としても活躍し、朝日新聞で約30年にわたって音楽評を執筆した。

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2024年12月06日

◆藤田真央、2025年ザルツブルク音楽祭にデビュー


 藤田真央がハーゲン弦楽四重奏団とブラームスのピアノ五重奏曲で、2025年のザルツブルク音楽祭へのデビューが決定した。

 日時・会場は、2025年8月26日19時30分、モーツァルテウム大ホール。

                     ◇

 ピアノの藤田真央(1998年生れ)は、東京都出身。小学生の時、「全日本学生音楽コンクール」小学生の部で優勝。この時、審査員を務めた野島稔(1945年―2022年)に後に師事することになる。その後、東京音楽大学で学ぶ。2013年第5回「ロザリオ・マルチアーノ国際ピアノコンクール」日本人初の第1位、併せてワーグナー・ヴェルディ賞を受賞。2015年第1回「若い音楽家のための珠海国際モーツァルトコンクール」ピアノ部門グループBで第1位。2016年第20回「浜松国際ピアノアカデミーコンクール」第1位。2017年第27回「クララ・ハスキル国際ピアノコンクール」第1位、併せて聴衆賞などの3つの特別賞受賞。これは日本人では河村尚子以来、3人目の優勝。2019年第16回「チャイコフスキー国際コンクール」ピアノ部門第2位。2020年第21回「ホテルオークラ音楽賞」、第30回「出光音楽賞」受賞。2021年スイスのヴェルビエ音楽祭に招かれ、モーツァルトのピアノ・ソナタ全曲を演奏し絶賛を博す。2022年、拠点をベルリンに移す。

 ハーゲン弦楽四重奏団は、モーツァルテウム管弦楽団の首席ヴィオラ奏者オスカー・ハーゲンを父に持つ4人の兄弟(ルーカス・ハーゲン、アンゲリカ・ハーゲン、ヴェロニカ・ハーゲン、クレメンス・ハーゲン)によってオーストリア・ザルツブルクで結成された弦楽四重奏団。第2ヴァイオリンはアンゲリカから、アネッテ・ビク、そして現在のライナー・シュミットに交替)。1981年「ロッケンハウス」で審査員賞と観客賞を受賞。その翌年「ポーツマス弦楽四重奏コンクール」で優勝。現在4人はモーツァルテウム音楽大学の教授。

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