2012年5月17日
ベートーヴェン:交響曲全集(交響曲第1番~第9番、マルケヴィチ版による)
指揮:飯守泰次郎
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
独唱:佐々木典子(ソプラノ)/小山由美(アルト)/福井 敬(テノール)/小森輝彦(バリトン)
合唱指揮:藤丸崇浩
合唱:東京シティ・フィル・コーア
録音:2010年5月-2011年7月、東京オペラシティ、東京芸術劇場(ライヴ録音)
CD:FOCD6014/8 (5CD)
ウクライナで生まれ、スイスで育った名指揮者イゴール・マルケヴィチ(1912年-1983年)は、欧米各地のオーケストラに蔵書されている巨匠たちの書き込みが残された楽譜に接し、その解釈によっては音楽の本質から離れてしまう危機感を覚え、校訂譜の作成を決意する。この労作「ベートーヴェンの交響曲~歴史的・分析的・実践的研究」は、1982年にペータース社から出版された。
飯守泰次郎&東京シティ・フィルは、2000年に行った「新ベーレンライター版」による全曲演奏により、作曲者の精神に迫る革新的な演奏と絶賛を博した。それから10年2010/11のシーズンに、2回目のベートーヴェン・ツィクルスに取り組む飯守が下した決断-それはマルケヴィチ版の使用であった。
飯守は、演奏における実際と理論の両面を踏まえたこの画期的な校訂譜の採用を決断し、機能性よりも表現性に訴える全曲演奏を果した。古楽的なアプローチが隆盛を極める現代の演奏に、巨大かつ普遍的な楽聖像を提示する全集の登場。