クラシック音楽 新譜CD情報


バックナンバー 2024年 11月

2024年11月21日

★イリーナ・メジューエワのバッハ:プレリュードとフーガ/ショパン:バラード第1~4番/平野一郎:ピアノ・ソナタ第1番「光人彷徨」(ライヴ録音盤)


<CD-1>

J.S.バッハ:プレリュードとフーガ ト短調 BWV861 (「平均律クラヴィーア曲集」第1巻より)

ショパン:バラード第1番 ト短調 作品 23
     バラード第2番 ヘ長調 作品 38
     バラード第3番 変イ長調 作品 47
     バラード第4番 ヘ短調 作品 52

<CD-2>

平野一郎:ピアノ・ソナタ第1番「光人彷徨(こうじんほうこう)」
         ~左手と右手に依る二幕の黙示劇 (イリーナ・メジューエワ委嘱作品)

      I : 闇巴髏乃(いんへるの)
      II : 波羅以蘇(はらいそ)

録音:2023年11月23日、京都コンサートホール 「アンサンブルホールムラタ」におけるライヴ録音

CD:日本ピアノサービス(Bijin Classical BJN‐1029~30)

ピアノ:イリーナ・メジューエワ

 このCDは、メジューエワが「21世紀の”ハンマークラヴィーア”」と絶賛する平野一郎のピアノ・ソナタ第1番「光人彷徨」の世界初演の舞台となった2023年京都リサイタル・ライヴ録音盤。

 ピアノのイリーナ・メジューエワ(1975年生れ)は、ロシア、ゴーリキー(現在:ニジニ・ノヴゴロド)出身。グネーシン音楽学校でヴラディミール・トロップに師事。1992年ロッテルダムで開催された第4回「エドゥアルト・フリプセ国際ピアノ・コンクール」で優勝。 以後、ヨーロッパ各国で演奏活動を行う。1997年から日本の京都を本拠とし、全国各地で演奏活動を展開。CD録音にも精力的で、これまでに多数のアルバムをリリース。「ショパン:ノクターン全集」(若林工房)は2010年度「レコードアカデミー賞(器楽曲部門)」受賞。2006年度「青山音楽賞」受賞。2015年第27回「ミュージック・ペンクラブ音楽賞(クラシック部門、独奏・独唱部門)」受賞。著書「ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ」(講談社)/「ショパンの名曲」(同)。2021年4月より大阪音楽大学客員教授を務める。

 作曲の平野一郎(1974年生まれ)は、京都府宮津市出身。1996年より各地の祭礼と音楽を巡る踏査を始動。1997年京都市立芸術大学卒業。1999年ブレーメン芸術大学に派遣留学。2000年京都芸大大学院(修士課程)修了。2001年より作曲活動を本格開始、京都を拠点に日本の風土や伝承に根差した独自の作品を発表。2005年「かぎろひの島」(Orch)で「日本交響楽振興財団作曲賞」最上位入選/「日本財団特別奨励賞」受賞。2007年作品演奏会“作曲家 平野一郎の世界 〜神話・伝説・祭礼…音の原風景を巡る旅〜”で第17回「青山音楽賞」受賞。2007年度「京都市芸術新人賞」受賞。2011年演奏家・美術家と「音色工房オンショクコウボウ」を結成。無伴奏女声独唱の為の「四季の四部作」(2014年吉川真澄委嘱)は大きな反響を呼び、同連作を軸とする協力公演“DUOうたほぎリサイタル2015”が「佐治敬三賞」受賞。CD「平野一郎《四季の四部作》春夏秋冬」(waon records)が「レコード芸術」「stereo」「オーディオアクセサリー」各誌で特選となる。令和元年(2019年)度「京都府文化賞奨励賞」受賞。

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2024年11月18日

★ヴィルヘルム・バックハウス”最後の演奏会”(2024年リマスター版)


<DISC1>

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 作品53「ワルトシュタイン」
シューベルト:楽興の時 D780 (作品94)

<DISC2>

モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331(K.300i)「トルコ行進曲付き」
シューベルト:即興曲 変イ長調 D935の2(作品142の2)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第18番 変ホ長調 作品31の3(第4楽章を除く)
シューマン:幻想小曲集 作品12 から 第1曲:夕べに、第3曲:何故に?
シューベルト:即興曲 変イ長調 D935の2(作品142の2)

ピアノ:ヴィルヘルム・バックハウス

録音:1969年6月26日(1-4)、28日(5-7) オーストリア、オシアッハ、シュティフト教会

CD:タワーレコード PROC-2405(TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE SA-CD COLLECTION)

 バックハウス生誕140年・没後55年企画。亡くなる約1週間前の「最後の演奏会」となったオシアッハ(オーストリア)での1969年の歴史的ライブを最新でSACD化。今回初めて独デッカ初出時のアートワークをジャケットに復活。今回の発売のために歴史的名盤を新規で本国のマスターテープより最新復刻。

 ここには、ドイツの大ピアニスト、ヴィルヘルム・バックハウス(1884~1969)の「最後の演奏会」となったオーストリア、ケルンテン州オシアッハ修道院教会での1969年6月26日と28日のライヴ録音が収録されている。

 1969年6月28日の演奏会前半で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第18番を演奏中、バックハウスは第3楽章のコーダで気分が悪くなり、「少し休ませてください」と言い残して舞台を後にした。短い休憩の後に彼の秘書がプログラムの変更を告げ、演奏会の前半はシューマンの「夕べに」と「何故に」で締めくくられた。その後の長い休憩の間、医師たちはバックハウスに演奏会の中止を強く勧めた。しかし、85歳のバックハウスの意志は非常に固く、バックハウスは「演奏会の最後をシューベルトの即興曲で締めくくりたいとのことです」と秘書に告げさせて、最後の舞台に立った。そして、ケルンテン州第2の都市、フィラッハの病院に入院したが、一週間後に亡くなった。

 ピアノのヴィルヘルム・バックハウス(1884年―1969年)は、ドイツ、ライプツィヒ出身。ドイツ国籍であったが、後スイスに帰化した。7歳でライプツィヒ音楽院に入学。 1900年、16歳の時にデビュー。1905年、パリで開かれた「ルビンシュタイン音楽コンクール」のピアノ部門で優勝したが、このときの第2位はバルトークであったという。その演奏に付けられたニックネームは”鍵盤の獅子王”だった。 1930年、スイス、ルガーノに移住。1946年、スイスに帰化。第二次世界大戦後の 1954年、カーネギー・ホールでコンサートを開き、アメリカへ進出を果たす。同年、日本を訪れた。1966年、オーストリア共和国「芸術名誉十字勲章」を受ける。また、ベーゼンドルファー社からは、20世紀最大のピアニストとしての意味を持つ指環を贈られた。1969年6月28日、オーストリアでのコンサートで、ベートーヴェンのピアノソナタ第18番の第3楽章を弾いている途中心臓発作を起こし、7日後に死去。享年85歳。

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2024年11月14日

★ファジル・サイのクープラン/ドビュッシー/ラヴェル: ピアノ作品集


クープラン:クラヴサン曲集第4巻~第21オルドル ホ短調

        ハートの女王
        躍動
        クープラン
        ハープ
        澄ました皮肉屋

ドビュッシー:ベルガマスク組曲 CD 82

        前奏曲
        メヌエット
        月の光
        パスピエ

ラヴェル:鏡 M.43

        蛾
        悲しい鳥たち
        海原の小舟
        道化師の朝の歌
        鐘の谷

ピアノ:ファジル・サイ

CD:ワーナーミュージック・ジャパン

 このCDアルバムは、クロード・ドビュッシー、フランソワ・クープラン、モーリス・ラヴェルというフランスを代表する3人の作曲家の作品をまとめたもの。ファジル・サイは、パンデミックによるロックダウン期間中に、「バッハ:ゴルトベルク変奏曲」の録音盤と同じように、色鉛筆でこれらの作品に徹底的に研究した後に、2023年に録音を行ったという。

 ピアノのファジル・サイ(1970年生まれ)は、トルコ、アンカラ出身。アンカラ国立音楽学院で学ぶ。17歳でデュッセルドルフのシューマン音楽院に留学。1992年から1995年までベルリン音楽院で学ぶ。1994年「ニューヨーク・ヤング・コンサート・アーティスト国際オーディション」で優勝し、一躍脚光を浴びる。ピアノ演奏家としてだけでなく、作曲家としても活動。16歳で作曲した”Black Hymns”は、ベルリン建都750周年記念行事で演奏され、2006年にはザルツブルク音楽祭のために「In the Serai」を作曲。2006年から映画音楽の作曲も手掛け始める。

 

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2024年11月11日

★ヴィルデ・フラングとロビン・ティチアーティ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団のエルガー:ヴァイオリン協奏曲


エルガー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 Op.61
     カリッシマ(ヴァイオリンとピアノのための)

ヴァイオリン:ヴィルデ・フラング

ピアノ:トーマス・ホッペ

指揮:ロビン・ティチアーティ

管弦楽:ベルリン・ドイツ交響楽団

CD:ワーナーミュージックジャパン 2173240942

 ヴァイオリンのヴィルデ・フラング (1986年生れ) は、ノルウェーの首都オスロ出身。オスロのバラット=デューエ音楽院で学び、その後ハンブルク音楽演劇大学、クロンベルク・アカデミーで学ぶ。 10歳でノルウェー放送交響楽団と共演しデビュー。12歳の時にマリス・ヤンソンス指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団と共演し国際的な注目を集める。以後、フィルハーモニア管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、hr交響楽団、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団、ベルナルト・ハイティンク指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団等と共演。2011年に初来日し、アレクサンダー・リープライヒ指揮NHK交響楽団とシベリウスのヴァイオリン協奏曲を共演し、日本デビューを果たす。ヴィルデ・フラングは、このCDの録音の前に、エルガー:ヴァイオリン協奏曲のコンサートを開催しているが、その演奏に対して「エルガーの並外れた美しさを引き出した素晴らしい演奏」と、高い評価を得ている。

 ピアノのトーマス・ホッペは、ドイツ、マインツ出身。1993年に渡米し、ジュリアード音楽院で学ぶ。 2001年、同大学院を卒業後、ピアニスト、伴奏者として活躍。2003年に結成されたアートス・トリオ・ベルリンの創設メンバー。リサイタルのほか、声楽を中心とする室内楽、オーケストラの中でのピアニスト、さらには声楽のコーチとしても活躍。

 指揮のロビン・ティチアーティ(1983年生まれ)は、ロンドン出身。15歳で指揮活動を始める。26歳の若さでスコットランド室内管弦楽団の首席指揮者となり、2014年からはイギリスの伝統あるグラインドボーン音楽祭の音楽監督を務める。2017年にはベルリン・ドイツ交響楽団の音楽監督に就任するなど、指揮者としては異例の早熟ぶりを発揮している。

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2024年11月07日

★辻井伸行 ドイツ・グラモフォン・デビューアルバム ベートーヴェン:「遥かなる恋人に」/「ハンマークラヴィーア」


ベートーヴェン(リスト編曲):連作歌曲集「遥かなる恋人に」Op.98 / S.469

     第1曲:丘の上に腰をおろし
     第2曲:灰色の霧の中から
     第3曲:天空を行く軽い帆船よ
     第4曲:天空を行くあの雲も
     第5曲:五月は戻り、野に花咲き
     第6曲:愛する人よ、あなたのために

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 「ハンマークラヴィーア」Op.106

     第1楽章:Allegro
     第2楽章:Scherzo. Assai vivace
     第3楽章:Adagio sostenuto
     第4楽章:Largo – Allegro risoluto

録音:2024年7月、ベルリン、テルデックス・スタジオ

ピアノ:辻井伸行

CD:ユニバーサルミュージック UCCG-40132

 このCDは、辻井伸行のドイツ・グラモフォン・デビューアルバム。ベートーヴェン:「ハンマークラヴィーア」は、辻井が2009年の「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で優勝した際に披露した作品で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲中、技術的にも、頭を使う点でも、そしてその規模からしても演奏者にとって最も難しい作品の一つ。

 ピアノの辻井伸行(1988年生まれ)は、東京都出身。2005年第15回「ショパン国際ピアノコンクール」で「ポーランド批評家賞」を受賞。2009年「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」で優勝(日本人として初)。2009年文化庁長官表彰(国際芸術部門)、2010年第11回「ホテルオークラ音楽賞」及び第1回「岩谷時子賞」、2013年「日本ショパン協会賞」受賞。2013年英国最大のクラシック音楽の音楽祭”BBCプロムス”に出演し「歴史的成功」と称賛された。作曲家としても注目されており、映画「神様のカルテ」で第21回「日本映画批評家大賞」受賞。現在、欧米の一流オーケストラの定期公演にもたびたび招聘されており、世界的オーケストラとの共演が数多く予定されている。2024年日本人ピアニストとして初めて、クラシック音楽の名門レーベル「ドイツ・グラモフォン」と専属契約を結んだ。

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2024年11月04日

★ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・フィルのフランク:交響曲/フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」


フランク:交響曲 ニ短調
フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」 作品80

指揮:ダニエル・バレンボイム

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

CD:ユニバーサルミュージック UCCG-45107

 互いを完璧に理解し合っている指揮者・ピアニストのダニエル・バレンボイムとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。今作は、2024年に没後100年を迎えたフランスの偉大な作曲家、ガブリエル・フォーレを記念した録音。2023年6月初旬にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地、ベルリン・フィルハーモニーで演奏し、好評を集めたプログラム。

 ダニエル・バレンボイム(1942年生れ)は、アルゼンチン出身で現在の国籍はイスラエル。両親からピアノの指導を受け、少年時代から音楽の才能を発揮する。7歳のときブエノスアイレスで最初の公開演奏会を開いた。1952年家族を挙げてイスラエルに移住。同年ピアニストとしてヨーロッパ・デビューを果たす。1957年にはニューヨークのカーネギー・ホールで米国デビュー。ピアニストとしての名声を確固たるものとした後、1966年からイギリス室内管弦楽団と弾き振りでモーツァルトのピアノ協奏曲の録音を開始し、指揮者としてのデビューも果たす。パリ管弦楽団首席指揮者、シカゴ交響楽団音楽監督、ミラノ・スカラ座音楽監督、ベルリン国立歌劇場音楽総監督、シュターツカペレ・ベルリン音楽監督を歴任。2019年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団名誉指揮者に就任。これまで「ウルフ賞」、「グラミー賞」、「高松宮殿下記念世界文化賞」など多数の受賞歴を持つ。ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート指揮者は、これまで3回(2009年、2014年、2022年)務めている。

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