クラシック音楽 新譜CD情報


2025年9月29日

★グザヴィエ・ドゥ・メストレとルツェルン祝祭弦楽合奏団のヘンデルハープ協奏曲他


 

ヘンデル:ハープ協奏曲 変ロ長調 HWV 294 Op.4-6
     オルガン協奏曲 ニ短調 HWV 309 Op.7-4(メストレによるハープ編曲版)
     オルガン協奏曲 ヘ長調 HWV 293 Op.4-5(アルモシュ・タロシュによるハープ編曲版)
     主題と変奏
     組曲第7番 ト短調 VI.パッサカリア HWV 432(タイニー・ベオンによるハープ編曲版)
     メヌエット変奏曲(メヌエット ト短調 HWV 434,4より/ヤン=ペーター・クレプフェル
              によるハープとアップライト・フェルトピアノのための編曲版)
     エア変奏曲(水上の音楽 第1組曲 HWV 348より/ハープとアコーディオンのための編曲版)

ハープ:グザヴィエ・ドゥ・メストレ

管弦楽:ルツェルン祝祭弦楽合奏団

アップライト・フェルトピアノ:ジュリアン・クエンティン

アコーディオン:マルティナス

CD:ソニーミュージック SICC 30926

 このCDアルバムは、ヘンデルが作曲した唯一のハープ協奏曲であるハープ協奏曲 変ロ長調 HWV 294 Op.4-6を中心に、ヘンデルのオルガン協奏曲をハープとオーケストラ用にアレンジした作品が収録されている。これらの楽曲はルツェルン祝祭弦楽合奏団と共に演奏される。

 ハープのグザヴィエ・ドゥ・メストレ(1973年生まれ)は、フランス、トゥーロン出身。16歳の時、「パリ・ハープ・コンクール」で優勝、「カーディフ(英国)」のほか、ミュンヘン、ウィーン、エルサエレムでの主要な国際コンクールでも数々の受賞を果たす。1998年、世界で最も権威のある「USA国際ハープ・コンクール(ブルーミントン)」で優勝し、20歳でロリン・マゼール率いるバイエルン放送交響楽団のソロ・ハーピストとなった。その3年後には、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・ハーピストに就任。翌年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。2010年ソリストとして活動するため同楽団を退団。現在、ソリストとして、ザルツブルク・モーツァルテウム管、イスラエル・フィル、チェコ・フィル、バイエルン放送響などと様々なハープ協奏曲を共演しているほか、リサイタル、室内楽など幅広く活動している。日本にはほぼ毎年来日し、NHK交響楽団との共演、リサイタルやウィーン・フィル・メンバーとの室内楽を行っている。ハンブルク音楽大学の教授に就任し、後進の指導にも当たっている。

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2025年9月25日

★デビュー40周年記念 小山実稚恵の最新ベスト盤


バッハ:ゴルトベルク変奏曲~I.アリア
ショパン:ワルツ イ短調(2024年公表作品)
チャイコフスキー:秋の歌(「四季」~10月)
ショパン:マズルカ第29番変イ長調 作品41-4
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻第4番 I.前奏曲
シューマン:夕べに
ブラームス:間奏曲嬰ハ短調 作品117-3
シューベルト:即興曲変イ長調 作品90-4
シューマン:予言の鳥
シューマン/リスト:献呈

CD:ソニーミュージック SICC 39140

ピアノ: 小山実稚恵

 10月12日(日)東京サントリーホールにてデビュー40周年公演を行う小山実稚恵。チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際ピアノコンクールの二大コンクールの双方に入賞以来、第一線で活躍を続けている。1987年「ショパン:ピアノ・ソナタ第3番&アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ」でLP/CDデビュー以来、33枚のアルバムをリリースし、幅広いレパートリーで知られる。近年では初のバッハ・アルバム「ゴルトベルク変奏曲」やベートーヴェン後期ソナタ・アルバムでの深化するピアニズムが高い評価を得ている。そんな小山が2025年6月23日に新たに録音したショパンとチャイコフスキーの3曲を収めた最新ベスト盤。10月12日にはチャイコフスキーとラフマニノフの協奏曲第2番を演奏する。

 ピアノの小山実稚恵は、宮城県仙台市出身。東京芸術大学卒。1982年「チャイコフスキー国際コンクール」第3位、1985年「ショパン国際ピアノコンクール」第4位(女性では最高位)と、二大国際コンクールの両方に入賞した日本人で唯一のピアニスト。また「ショパン国際ピアノコンクール」など数々の国際コンクールの審査員を務める。東日本大震災以降、被災地でも演奏を行い、仙台では被災地活動の一環として自ら企画立案した「こどもの夢ひろば“ボレロ”」を毎年開催。2005年「文化庁芸術祭」音楽部門大賞、2005年第7回「ホテルオークラ音楽賞」、2013年第43回「東燃ゼネラル音楽賞」洋楽部門本賞、2015年第35回 NHK交響楽団「有馬賞」、2015年「文化庁芸術祭音楽部門優秀賞」、第28回「ミュージック・ペンクラブ音楽賞」、2016年度「芸術選奨音楽部門文部科学大臣賞」、2018年度「大阪市市民表彰」をそれぞれ受賞。2017年度「紫綬褒章」受章。

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2025年9月22日

★横山幸雄のラヴェル:ソロ・ピアノ作品全集


<CD1>

ラヴェル:古風なメヌエット
     亡き王女のためのパヴァーヌ
     水の戯れ
     ソナチネ
     鏡

<CD2>

ラヴェル:夜のガスパール
     ハイドンの名によるメヌエット
     高雅で感傷的なワルツ
     ボロディン風に
     シャブリエ風に
     前奏曲
     クープランの墓

ピアノ:横山幸雄

CD:Biancala MYCL00401

 このCDは、日本を代表するピアニスト、横山幸雄の実に7年振りとなるピアノソロ・アルバム。ラヴェル生誕150周年記念アルバム。自身が立ち上げた「Biancala」レーベルの第1弾となるこのアルバムは、「ラヴェル:ソロ・ピアノ作品全集」。16歳で単身渡仏し、パリ音楽院で学びつつ、ラヴェルの直弟子でもあるヴラド・ペルルミュテールのもとでも研鑽を積んだ横山幸雄。これまでラヴェル生誕120年の1995年、生誕140年の2015年に東京やパリにてピアノ独奏曲全曲演奏会を開催してきたが、今回初の全集レコーディング敢行となった。まさにラヴェルの流れを汲むピアニスト、横山幸雄のこだわりが詰まったアルバム。

 ピアノの横山幸雄(1971年生まれ)は、東京都三鷹市出身。1987年東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校在学中にパリ国立高等音楽院にフランス政府給費留学生として留学。ジャック・ルヴィエ、ヴラド・ペルルミュテール、パスカル・ドヴァイヨンに師事。1989年「ロン=ティボー国際コンクール」ピアノ部門第3位。1990年パリ国立高等音楽院卒業。1990年第12回「ショパン国際ピアノコンクール」第3位およびソナタ賞受賞。1999年文化庁芸術選奨新人賞(音楽部門)受賞。2000年CD「ベートーヴェン12会/1998~1999」が第55回文化庁芸術祭レコード部門優秀賞を受賞。モービル音楽賞(奨励賞)受賞。2010年ショパンの全166曲を16時間弱かけて弾き通し、ギネス・ワールド・レコーズの「24時間でもっとも多い曲数を1人で弾いたアーティスト」に認定される。2011年未発表曲を含め、確認されているショパンの全ての独奏曲212曲を約18時間かけて暗譜で弾き通し、自身が持つ「24時間でもっとも多い曲数を1人で弾いたアーティスト」のギネス記録を更新。元上野学園大学教授、エリザベト音楽大学客員教授、名古屋芸術大学特別客員教授、広島大学客員教授。日本パデレフスキ協会会長。

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2025年9月18日

★西岡沙樹のフォーレ:ピアノ・ソロ作品全集 第1巻


<Disc1>

フォーレ:ヴァルス=カプリス(全4曲)
     3つの無言歌 op.17
     即興曲(No.1-No.5)<No.6は第2巻>
     マズルカ op.32
     バラード 嬰ヘ長調 op.19(ピアノソロ版)

<Disc2>

フォーレ:舟歌(全13曲)

ピアノ:西岡沙樹

CD:LIVE NOTES(ライヴノーツ) WWCC-8033(2枚組)

 日本人ピアニスト初の快挙。編曲版を含む、フォーレ:ピアノソロ作品の全てを収録。

 ピアノの西岡沙樹は、奈良県出身。 四天王寺高等学校を経て、京都市立芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業後、渡仏。パリ国立高等音楽院ピアノ科修士課程に審査員満場一致の首席で合格し、2018年に最優秀で修了。 また京都フランス音楽アカデミーよりスカラシップを得て、奨学生としてパリ・エコール・ノルマル音楽院にも在籍し、コンサーティストディプロム取得。第61回「全日本学生音楽コンクール」全国大会第2位、第19回「フッペル鳥栖ピアノコンクール」第1位、第18回「松方ホール音楽賞」奨励賞、第5回「フォーレ国際ピアノコンクール(フランス)」第2位・聴衆賞。2018年、スペインのバルセロナで開催された第7回「バルセロナ国際ピアノアカデミーコンクール」にて優勝し、翌年スペイン各地で褒賞ソロリサイタルを行う。 日本・ヨーロッパ各地でのソロリサイタルや、リベイラン・プレート交響楽団(ブラジル)をはじめ、国内外のオーケストラと共演。フランスにて、パリ・ショパンフェスティバル、リストマニア、ピアノ・オン・ヴァロワ、ジャコバン国際ピアノ音楽祭等の音楽祭にも出演しリサイタルを行う。 2023年には、あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール(大阪)の「フェニックス・エヴォリューション・シリーズ」に選出され、フォーレのノクターン全13曲及び即興曲全5曲によるリサイタルを開催し好評を博すなど、精力的に演奏活動を行っている。

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2025年9月15日

★ヴォルフガング・ダヴィッド&梯 剛之デュオ・リサイタル2024


ディートリヒ/シューマン/ブラームス:F.A.E.ソナタ
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第34番 変ロ長調 K.378(317d)
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのロンド ロ短調 D 895
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.68
クライスラー:ウィーン風狂想的幻想曲

ヴァイオリン:ヴォルフガング・ダヴィッド

ピアノ:梯 剛之

CD:ソナーレ・アートオフィス SONARE1072

 ヴァイオリンのヴォルフガング・ダヴィッド(1971年生まれ)は、オーストリア、ウィーン近郊のザンクト・ペルテン生出身。8歳でウィーン国立音楽大学準備科への入学を許可され、ウィーン・フィル コンサートマスターのライナー・キュッヒル氏に師事。その後ケルン音楽大学でイゴール・オジム氏に、ロンドンのギルドホール音楽院でイフラ・ニーマン氏に学ぶ。多くのコンクールで入賞を果たし、イギリス ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、オーストリア ウィーン放送交響楽団、南アフリカ ヨハネスブルク・フィルハーモニー管弦楽団、スイス ベルン交響楽団、などのオーケストラと共演。ウィーン・コンツェルトハウス、ウィーン・ムジークフェラインザール、ニューヨーク カーネギー・ホール、ロサンゼルス セリトス・センター、ロンドン ウィグモア・ホール、ジュネーヴ ヴィクトリア・ホール、パリ ユネスコ・ホール、ケルン フィルハーモニーなど世界の著名なホールで演奏。なかでも特筆すべきはニューヨーク 国連アッセンブリー・ホールでのコフィー・アナン国連事務総長臨席のもとでの演奏、バンコクでのタイ女王臨席での演奏である。ワシントン・ポスト紙は、「最高度の音楽が降り注ぐ」と評し、「ストラド」誌は、彼の演奏の「情感の豊かさは人が望み得る最上のもの」と絶賛している。梯 剛之(ピアノ)とのコンサートのライブCD7タイトルがソナーレ・アートオフィスよりリリース。

 ピアノの梯 剛之(かけはし たけし、1977年生まれ)は、東京都出身。小児癌により生後1ヵ月で失明するが、玩具がわりにピアノに親しみ、4才半よりレッスンを始める。1990年八王子市立中山小学校卒業と同時にウイーン国立音楽大学準備科に入学。同年再び眼に悪性腫瘍を患い帰国し手術するも、翌年勉強を再開。1994年チェコの「盲人弱視者国際音楽コンクール」、ドイツの「エトリンゲン青少年国際ピアノコンクール(Bカテゴリー)」で参加者中最年少優勝、豊かな音楽性を認められる。1995年アメリカの「ストラヴィンスキー青少年国際コンクール」第2位。1997年「村松賞」受賞。1998年「ロン=ティボー国際コンクール(パリ)」第2位およびSACEM賞(リサイタル賞)、シュピオンボノー財団賞受賞。1999年「都民文化栄誉章」「出光音楽賞」「点字毎日文化賞」を受賞。2000年「ショパン国際コンクール」ワルシャワ市長賞受賞。2014年7月サラエボにて、「世界平和コンサートへの道」公演で、柳澤寿男指揮バルカン室内管弦楽団 とモーツァルト:ピアノ協奏曲第13 番を共演するなど、これまでに世界各国のオーケストラと共演。NHK「芸術劇場」「クラシックアワー」「N響アワー」「毎日モーツアルト」「ぴあのピア」、テレビ朝日「徹子の部屋」等テレビ、ラジオ出演も多い。これまで計10枚のCDをリリース。「ピアノ・リサイタル2013」(SONARE1023)は「レコード芸術」誌で特選盤、「ピアノ・リサイタル2014」(SONARE1027)は同誌準特選盤に選ばれた。

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2025年9月11日

★ジョナサン・ノット&東京交響楽団 ベートーヴェン・シリーズ ベートーヴェン:交響曲 第2番&第5番


ベートーヴェン:交響曲 第2番 二長調 作品36
        交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」

指揮:ジョナサン・ノット(東京交響楽団音楽監督 2026年3月退任予定)

管弦楽:東京交響楽団

録音:2022年11月26日東京・サントリーホール、11月27日ミューザ川崎シンフォニーホール(第2番)、2024年12月7日東京・サントリーホール、12月8日ミューザ川崎シンフォニーホール(第5番)にてライヴ収録

CD:オクタヴィアレコード OVCL-00884

 ジョナサン・ノットと東京交響楽団は、2014年以来、ファンを魅了し熱狂させてきた。音楽監督就任以来シーズン毎に披露され互いに成熟し探求し続けてきたベートーヴェン像。第6番「田園」&第1番に次ぐシリーズ第3弾が登場。Last Season(東京交響楽団音楽監督を2026年3月に退任予定)を迎えた名コンビの演奏。

 指揮のジョナサン・ノット(1962年生れ)は、イギリス、ウェスト・ミッドランズ州出身。 ケンブリッジ大学で音楽学を専攻したのち、ロイヤル・ノーザン音楽大学で声楽とフルートを学ぶ。後に指揮に転向。フランクフルト歌劇場などでカペルマイスターを務めた後、2000年にはアンサンブル・アンテルコンタンポランの首席指揮者を務め、さらに2000 年からドイツ・バンベルク交響楽団の首席指揮者に就任。2010年、同オーケストラとのCD「マーラー交響曲第9番」を世界で権威あるフランスの「Midem 音楽賞」最優秀交響曲作品賞受賞へと導き、オーケストラの知名度を一躍広めた。ベルリン・フィルなど欧州の主要オーケストラに客演。バーデン=バーデン祝祭劇場ではマーラー・チクルスシリーズを立ち上げた。2007年には、ルツェルン音楽祭のアルティスト・エトワール(招待スター演奏家)に選ばれ、ワーグナー「ラインの黄金」を指揮。バーデン=バーデン祝祭劇場ではマーラー・チクルスシリーズを立ち上げた。2007年には、ルツェルン音楽祭のアルティスト・エトワール(招待スター演奏家)に選ばれ、ワーグナー<ラインの黄金>を指揮した。古典から現代曲まで幅広いレパートリーと抜群のプログラミングセンスを持つノットは、その多岐にわたる活躍が評価され、2009年「バイエルン文化賞」が贈られた。2011年1月のザルツブルク音楽祭モーツァルト週間でウィーン・フィルを指揮、ソリストにポリーニを迎えた演奏会は絶賛された。2009年にはマーラー・ユース・オーケストラを率いて、ヨーロッパツアーを行った。またバンベルクで開催される「マーラー国際指揮者コンクール」を統括。2014年東京交響楽団第3代音楽監督に就任(2026年3月退任予定<12年間>)。2016年スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督に就任。

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2025年9月08日

★芥川也寸志生誕100周年記念 芥川也寸志 指揮 新交響楽団のチャイコフスキー名演集


チャイコフスキー:

<CD1>

①交響曲第4番ヘ短調 作品36
②ただ憧れを知る者だけが(芥川也寸志編)

<CD2>

③交響曲第5番ホ短調 作品64
④交響曲第5番 リハーサル風景

<CD3>
⑤交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」
⑥イタリア奇想曲 作品45

指揮:芥川也寸志

管弦楽:新交響楽団

録音:①②1985年11月3日、東京文化会館(第109回演奏会)ライヴ、デジタル録音
   ③1982年9月15日、東京文化会館(第97回演奏会)ライヴ、ステレオ
   ④1967年9月3日東京文化会館リハーサル室、モノラル
   ⑤⑥1973年3月25日、神奈川県立音楽堂(第25回演奏会)ライヴ、ステレオ

CD:Tobu Recordings(東武商事)TBRCD0176

 このCDアルバムは、新交響楽団を産み、育て、愛した芥川也寸志のチャイコフスキー:名演集。貴重なリハーサル風景も収録。2025年に生誕百年を迎えた作曲家芥川也寸志。芥川のライフワークの一つがオーケストラ活動で、創立した新交響楽団を鍛え上げ発展させた。指揮者芥川が愛した作曲家がチャイコフスキーで幸いにも三大交響曲の録音が遺され、第4番はデジタル録音という朗報。芥川自身が最も愛する曲と公言した歌曲「ただ憧れを知る者だけが」が芥川による管弦楽編曲版でアンコールとして演奏されている。作曲家清道洋一氏による愛情溢れるライナーノート付き。

 作曲家の芥川也寸志(1925年―1989年)は、文豪・芥川龍之介の三男として東京・田端に生まれる。1947年東京音楽学校本科を首席で卒業。1950年「交響管絃楽のための音楽」がNHK放送25周年記念懸賞募集管弦楽曲に特賞入賞。同年「交響管絃楽のための音楽」が近衛秀麿指揮の日本交響楽団(NHK交響楽団の前身)により初演され、一躍脚光を浴びた。芥川の音楽界での功績を記念して、1990年サントリー音楽財団により「芥川作曲賞」が創設された。

 新交響楽団は、NHK交響楽団の前身である「新交響楽団」のことではなく、アマチュア・オーケストラとして1956年に設立された「新交響楽団」。芥川也寸志は、1950年代に若い音楽家仲間とともに「20世紀音楽研究所」を設立し、現代音楽の普及に力を注いだ。その流れの中で1956年にアマチュア・オーケストラ「新交響楽団」を創設。芥川は設立当初から音楽監督・常任指揮者を務め、団体の活動を支え続けた。彼の没後も団体は存続し、現在も東京都内を拠点に演奏活動を行っている。2025年4月、サントリーホールにて芥川也寸志生誕100年記念演奏会を実施。芥川がサントリーホール落成記念式典のために作曲した「オルガンとオーケストラのための『響』」や、新響が芥川と共に日本初演を果たしたショスタコーヴィチ交響曲第4番などを演奏し、満員の観客から好評を博した。

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2025年9月04日

★梯 剛之 ピアノ・リサイタル2024


  

J.S.バッハ:イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310(300d)
シューマン:蝶々(パピヨン)作品2
ドビュッシー:映像第1集

ピアノ:梯 剛之

録音:2024年10月10日(ライヴ録音)

CD:ソナーレ・アートオフィス SONARE1071

 ピアノの梯 剛之(かけはし たけし、1977年生まれ)は、東京都出身。小児癌により生後1ヵ月で失明するが、玩具がわりにピアノに親しみ、4才半よりレッスンを始める。1990年八王子市立中山小学校卒業と同時にウイーン国立音楽大学準備科に入学。同年再び眼に悪性腫瘍を患い帰国し手術するも、翌年勉強を再開。1994年チェコの「盲人弱視者国際音楽コンクール」、ドイツの「エトリンゲン青少年国際ピアノコンクール(Bカテゴリー)」で参加者中最年少優勝、豊かな音楽性を認められる。1995年アメリカの「ストラヴィンスキー青少年国際コンクール」第2位。1997年「村松賞」受賞。1998年「ロン=ティボー国際コンクール(パリ)」第2位およびSACEM賞(リサイタル賞)、シュピオンボノー財団賞受賞。1999年「都民文化栄誉章」「出光音楽賞」「点字毎日文化賞」を受賞。2000年「ショパン国際コンクール」ワルシャワ市長賞受賞。2014年7月サラエボにて、「世界平和コンサートへの道」公演で、柳澤寿男指揮バルカン室内管弦楽団 とモーツァルト:ピアノ協奏曲第13 番を共演するなど、これまでに世界各国のオーケストラと共演。NHK「芸術劇場」「クラシックアワー」「N響アワー」「毎日モーツアルト」「ぴあのピア」、テレビ朝日「徹子の部屋」等テレビ、ラジオ出演も多い。これまで計10枚のCDをリリース。「ピアノ・リサイタル2013」(SONARE1023)は「レコード芸術」誌で特選盤、「ピアノ・リサイタル2014」(SONARE1027)は同誌準特選盤に選ばれた。

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2025年9月01日

★井上道義指揮NHK交響楽団のショスタコーヴィチ:交響曲第13番「バビ・ヤール」(ライヴ録音)


ショスタコーヴィチ:交響曲第13番 変ロ短調 作品113 「バビ・ヤール」

指揮:井上道義

管弦楽:NHK交響楽団

バス:アレクセイ・ティホミーロフ

合唱指揮:セシリア・リュディンゲル

合唱:オルフェイ・ドレンガル男声合唱団

録音:2024年2月3日~4日、東京・NHKホール(ライヴ録音)

CD:オクタヴィアレコード OVCL-00893

 ショスタコーヴィチという作曲家に真正面から向き合い続けた指揮者、井上道義による交響曲全曲録音のシリーズ第8弾。同盤には、井上にとってN響定期公演での最後の共演となった2024年2月のライヴが収録。この作品は、第二次世界大戦中ウクライナの渓谷バビ・ヤールでの悲劇を綴ったエフトゥシェンコによる詩に基づく交響曲。初演後に歌詞改訂があったが、同盤ではオリジナルの歌詞による演奏を収録。

 指揮の井上道義(1946年生れ)は、東京都出身。桐朋学園大学で指揮を齋藤秀雄に学ぶ。1971年「グィード・カンテッリ指揮者コンクール」優勝。1983年~1988年 新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督。1990年~1998年 京都市交響楽団音楽監督兼常任指揮者。1998年 フランス政府より芸術文化勲章「シェヴァリエ」を受賞。2007年~2018年オーケストラ・アンサンブル金沢ならびに石川県立音楽堂アーティスティック・アドヴァイザー音楽監督。2014年~2017年大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者。2016年第24回「渡邉暁雄音楽基金」特別賞。「東燃ゼネラル音楽賞」受賞。2023年第54回「サントリー音楽賞」受賞。 2024年引退を表明。

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2025年8月28日

★ウェールズ弦楽四重奏団 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 全集8 全曲録音完結


ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 作品18-6
        弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 作品130
        大フーガ 作品133

弦楽四重奏:ウェールズ弦楽四重奏団

        﨑谷直人(ヴァイオリン)
        三原久遠(ヴァイオリン)
        横溝耕一(ヴィオラ)
        富岡廉太郎(チェロ)

CD:フォンテック FOCD9923

 2017年にレコーディング開始、8年を経てベートーヴェン 弦楽四重奏曲全曲録音を果たしたウェールズ弦楽四重奏団。この間、2017~19年iichiko総合文化センター、2019-22年に第一生命ホール、そして2024年にはサントリー小ホールと3回の全曲公演を行い、その演奏は縦横無尽な域に至った。全集録音の掉尾を飾るは「大フーガ」。楽聖が200年前に呈した《道なき道》──ウェールズは歩み続ける。

 ウェールズ弦楽四重奏団は、2006年に桐朋学園大学の学生、崎谷直人、三原久遠、横溝耕一、富岡廉太郎の4名で結成。2008年「ミュンヘン国際音楽コンクール」第3位に入賞し、東京クヮルテット以来38年ぶりの入賞を果たす。2010年よりバーゼルに留学し、以後、ヨーロッパ各地で演奏活動を展開。同年「青山音楽賞」受賞。2011年「バーゼル・オーケストラ協会(BOG)コンクール」においてエクゼコー賞受賞、第7回「大阪国際室内楽コンクール」第3位。2013年からは、拠点を日本に置く。2016年には結成10周年を迎え、神奈川フィルとの共演でコンチェルト・デビューを果たす。2017年よりベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲演奏シリーズを開始。2017~19年iichiko総合文化センター、2019~22年第一生命ホール、そして2024年にはサントリー小ホールと3回の全曲公演を行う。2017年にフォンテックにおいてベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲録音のレコーディングを開始し、8年を経て2025年に完結。

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