クラシック音楽 新譜CD情報


2024年9月23日

★ポリーニ 最後のスタジオ録音 シューベルト:ピアノ・ソナタ第18番/幻想曲ヘ短調


シューベルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調 作品78 D894(マウリツィオ・ポリーニ)
       楽興の時 D. 780(ダニエレ・ポリーニ)
       幻想曲 ヘ短調 D 940(マウリツィオ・ポリーニとダニエレ・ポリーニの連弾)

ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ
    ダニエレ・ポリーニ

録音:2022年6月、ミュンヘン、ヘラクレスザール

CD:ユニバーサル ミュージック UCCG-45108

 2024年3月に急逝したイタリアの偉大なピアニスト、マウリツィオ・ポリーニ。2022年6月、ポリーニが生前最後に録音したこのCDは、息子でピアニストのダニエレとの共演作。2人が一緒に連弾曲を演奏するのはこのCDが初めて。収録曲には、2人が愛するシューベルトのピアノ作品を取り上げている。ポリーニの演奏による“幻想ソナタ”の愛称で知られる「ソナタ第18番」、ダニエレによる「楽興の時」、そして2人の連弾による「幻想曲 ヘ短調」でアルバムが締めくくられる。

 マウリツィオ・ポリーニ(1942年―2024年)は、イタリア、ミラノ出身。1957年15歳で「ジュネーブ国際コンクール」第2位。1960年18歳で第6回「ショパン国際ピアノコンクール」審査員全員一致で優勝し、一躍国際的な名声を勝ち取る。その後10年近く、表だった演奏活動から遠ざかる。1968年に演奏活動に復帰。現役では最も高い評価を受けているピアニストの一人であった。演奏の正確さから「精密機械」とも称された。 2014年に完成したポリーニによるベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集は、全集の完成までに39年を要した。そして近年、新たなベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の再録音に取り組んでいた。1974年に初来日して以降、たびたび日本も訪れていた。2010年「高松宮殿下記念世界文化賞(音楽部門)」受賞。

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2024年9月19日

★山根一仁 満を持したデビューCD J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ全曲


<CD1>

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001
      無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002
      無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003

<CD2>

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 二短調 BWV1004
      無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005
      無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006

ヴァイオリン:山根一仁

CD:キングレコード KICC-1621~2(2枚組)

 このCDは、中学三年生在学中、国内最高峰の日本音楽コンクール (2010年)で第一位を獲得し、各賞を総なめにして以来、業界が最も注目していたヴァイオリニスト、山根一仁が、満を持して発売するデビューCD。

 ヴァイオリンの山根一仁(1995年生まれ)は、札幌出身。2014年桐朋女子高等学校音楽科(共学)首席卒業。同大学ソリスト・ディプロマ・コースを経て、2015年よりドイツ国立ミュンヘン音楽演劇大学に留学。第79回「日本音楽コンクール」第1位および岩谷賞(聴衆賞)など5つの副賞受賞。第60回「横浜文化賞文化・芸術奨励賞」最年少受賞。2012年「Foundation for Youth賞」(岩谷時子音楽文化振興財団)受賞。2015年「青山音楽賞」新人賞、2015年第26回「出光音楽賞」受賞。2017年第19回「ホテルオークラ音楽賞」受賞。

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2024年9月16日

★田中彩子 ベスト・オブ・ハイコロラトゥーラ


ロジャース(日本語版):エーデルワイス
ヨハン・シュトラウス2世:美しく青きドナウ
モーツァルト:夜の女王のアリア
私の感謝をお受けください、慈悲の人よ
アヴェ・ヴェルム・コルプス
バッハ:ああ、なんて美味しいの、コーヒーは!
シューベルト:アヴェ・マリア
ヘンデル:私を泣かせてください
パガニーニ/クライスラー:ラ・カンパネラ
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
ドビュッシー:月の光
プライズマン:アヴェ・マリア
チック・コリア:ホワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥデイ
ロジャース:サウンド・オブ・ミュージック
ヨハン・シュトラウス2世:春の声

ソプラノ:田中彩子

ピアノ:加藤昌則、佐藤卓史、山中惇史
チェロ:植木昭雄、西山健一
ヴァイオリン:杉田せつ子、俣野賢仁
ヴィオラ:柳原有弥
ペーター・イレイニ指揮ブダペスト・アート交響楽団

CD:avex-CLASSICS AVCL-84166

 このCDは、ウィーンを拠点に活躍を繰り広げるハイコロラトゥーラの田中彩子が、鮮烈なデビューを飾ったアルバム「華麗なるコロラトゥーラ」発売から10周年を記念して、これまでに発表した4枚のアルバムからセレクションしたベスト盤。

 ソプラノの田中彩子(1984年生まれ)は、京都府舞鶴市出身。18歳で単身ウィーンに留学。22歳のときスイス・ベルン州立歌劇場にて同劇場最年少でソリスト・デビューを飾り、6ヶ月というロングラン公演を代役なしでやり遂げる。翌年、「国際ベルヴェデーレオペラ・オペレッタコンクール」ではオーストリア代表として本選出場を果たす。ウィーン・フォルクスオーパーとオッフェンバック「ホフマン物語」のオランピア役のカバーを務めたことを皮切りに、オーストリア政府公認スポンサーの「魔笛」公演では、夜の女王役として2012年から3年に渡って出演。その後、コンサート・ソリストとしてヨーロッパ、南米各地のオーケストラ公演に出演など、世界で活躍。日本でもコンサートのみならずメディア出演も多い。2018年「アルゼンチン最優秀初演賞」受賞。 2019年 「Newsweek日本版」の「世界が尊敬する日本人100人」に選出。2020年発売CD「Esteban Benzecry」は、イギリスBBCクラシック専門音楽誌にて5つ星に評された。音楽や芸術を通じた教育・国際交流活動を行う「Japan Association for Music Education Program」を設立し代表理事を務める。舞鶴市文化親善大使、京丹後市文化国際交流アドバイザー、宮津市文化芸術ブランドアンバサダーにも就任。ウィーン在住。

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2024年9月12日

★ブルース・リウのチャイコフスキー:「四季」


チャイコフスキー:「四季」
          ロマンス ヘ短調 作品5

ピアノ:ブルース・リウ

CD:ユニバーサルミュージック UCCG-45102

 2021年10月、第18回「ショパン国際ピアノ・コンクール」で優勝し、世界の舞台へと躍り出たブルース・リウが、チャイコフスキーのピアノ独奏曲の中で最もよく知られた「四季」を収録。「四季」は、サンクトペテルブルクの音楽雑誌「ヌーヴェリスト」が、毎月その時期の風物を描いたピアノ小品をチャイコフスキーに委嘱し、1876年を通して毎月1曲ずつ掲載された作品。チャイコフスキー:ロマンス ヘ短調 作品5も収録。

 ピアノのブルース・リウは、1997年パリで生まれる(カナダ国籍)。両親は中国・北京からのフランス留学生で、後にカナダへ移住。モントリオール音楽院で学び、ヴェトナム出身のダン・タイ・ソン(1980年アジア人初の「ショパン国際ピアノコンクール」優勝者、現在カナダ、モントリオール在住)に師事。「仙台」、「モントリオール」、「テルアヴィヴ」、「ヴィセウ」などの国際ピアノ・コンクールで入賞、そして2021年第18回「ショパン国際ピアノ・コンクール」で優勝を果たす。クリーヴランド管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、モントリオール交響楽団などのオーケストラと共演し、中国NCPA管弦楽団とは北米ツアーを行う。近年では、ウクライナ国立交響楽団およびリヴィウ・フィルハーモニー管弦楽団との2年連続の中国ツアーや、サル・ガヴォーでのラムルー管弦楽団との共演がある。

 

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2024年9月09日

★藤田真央のショパン/スクリャービン/矢代秋雄:24の前奏曲


<CD1>

ショパン:24の前奏曲 Op.28

<CD2>

スクリャービン:24の前奏曲 Op.11
矢代秋雄:24の前奏曲

ピアノ:藤田真央

CD:ソニーミュージック SICC-30894 (2CD Blu-spec CD2)

 ピアノの藤田真央(1998年生れ)は、東京都出身。小学生の時、「全日本学生音楽コンクール」小学生の部で優勝。この時、審査員を務めた野島稔(1945年―2022年)に後に師事することになる。その後、東京音楽大学で学ぶ。2013年第5回「ロザリオ・マルチアーノ国際ピアノコンクール」日本人初の第1位、併せてワーグナー・ヴェルディ賞を受賞。2015年第1回「若い音楽家のための珠海国際モーツァルトコンクール」ピアノ部門グループBで第1位。2016年第20回「浜松国際ピアノアカデミーコンクール」第1位。2017年第27回「クララ・ハスキル国際ピアノコンクール」第1位、併せて聴衆賞などの3つの特別賞受賞。これは日本人では河村尚子以来、3人目の優勝。2019年第16回「チャイコフスキー国際コンクール」ピアノ部門第2位。2020年第21回「ホテルオークラ音楽賞」、第30回「出光音楽賞」受賞。2021年スイスのヴェルビエ音楽祭に招かれ、モーツァルトのピアノ・ソナタ全曲を演奏し絶賛を博す。2022年、拠点をベルリンに移す。

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2024年9月05日

★ミュンヘン・フィルコンサートマスター青木尚佳のイザイ: 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(全曲) 


イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ 作品27

      第1番 ト短調
      第2番 イ短調
      第3番 ニ短調「バラード」
      第4番 ホ短調
      第5番 ト長調
      第6番 ホ長調

ヴァイオリン:青木尚佳

CD:EXTON OVCL-00840

 いま最も注目されているヴァイオリニストの一人である青木尚佳は、2022年にミュンヘン・フィルのコンマスに就任し、さらなる飛躍を続けている。このCDは、紀尾井ホールでのイザイ無伴奏ソナタ全曲演奏会の前日に行われたセッション録音。

 ヴァイオリンの青木尚佳(1992年生まれ)は、東京都出身。11歳より堀正文氏に師事した後、2009年、桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマコースに最年少で合格し、2011年に修了。同年9月より英国王立音楽大学に留学し、2015年7月に卒業。卒業に際し、全卒業生の中から男女各1名ずつ贈られる「タゴール・ゴールドメダル」を英チャールズ皇太子より授与される。2014年「ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール」第2位、併せてコンチェルトの最良の解釈に贈られるモナコ大公アルベール二世賞を受賞。また同年10月、中国・チンタオで行われた第4回「中国国際ヴァイオリンコンクール」第2位。2015年7月に受賞記念リサイタルを東京の浜離宮朝日ホールで開催。その後、フランス各地でリサイタルを開催。2004年第5回「若い音楽家の為のチャイコフスキー国際音楽コンクール」にて最年少ディプロマを受賞。2009年第78回「日本音楽コンクール」第1位、併せてレウカディア賞、鷲見賞、黒柳賞を受賞。2016年第6回「仙台国際音楽コンクール」第3位。現在、ABRSM(英国王立音楽検定)より全額奨学金を得て英国王立音楽院に在学。2022年3月ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団初となる女性のコンサートマスターに就任。

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2024年9月02日

★2024年4月九響首席指揮者に就任した太田 弦指揮九州交響楽団のショスタコーヴィチ:交響曲第5番/祝典序曲


ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
          祝典序曲

指揮:太田 弦

管弦楽:九州交響楽団

録音:2024年4月11~12日、アクロス福岡シンフォニーホール(ライヴ収録)

CD:オクタヴィアレコード OVCL-00853

 このCDは、2024年4月、九州交響楽団首席指揮者に就任した太田 弦の就任披露演奏会のライヴ録音盤。

 指揮の太田 弦(1994年生れ)は、北海道札幌市出身。東京芸術大学音楽学部指揮科を首席で卒業。学内にて安宅賞、同声会賞、若杉弘メモリアル基金賞を受賞。現在同大学院音楽研究科指揮専攻修士課程に在籍。2015年第17回「東京国際音楽コンクール〈指揮〉」で第2位ならびに聴衆賞を受賞。2022年「渡邉暁雄音楽基金音楽賞」受賞。2019年4月より2022年3月まで大阪交響楽団正指揮者。2023年4月より仙台フィルハーモニー管弦楽団指揮者、2024年4月より九州交響楽団首席指揮者に就任。

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2024年8月29日

★河村尚子 日本デビュー20周年記念アルバム ”20 -Twenty-”


<プロローグ>

1. シューマン:献呈 作品25の1(歌曲集「ミルテの花」作品25 第1曲)[クララ・シューマン編]

<20 – Twenty>

2. R.シュトラウス:さびしい泉のほとり 作品9の2(4つの情緒ある風景 作品9 第2曲)
3. シューベルト:楽興の時 第3番 ヘ短調 D 780 / 作品94の3
4. バルトーク:スケルツォ Sz. 71 / BB. 79の5(15のハンガリーの農民の歌 Sz. 71 / BB. 79 第5曲)
5. ベートーヴェン:エリーゼのために WoO 59
6. R.=コルサコフ:熊蜂は飛ぶ(歌劇「皇帝サルタンの物語」第3幕第2場 間奏曲)[ラフマニノフ編]
7. スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K. 27
8. プロコフィエフ:前奏曲 ハ長調「ハープ」 作品12の7(10の小品 作品12 第7曲)
9. ブーランジェ:新たな人生に向かって
10. 矢代秋雄:夢の舟[岡田博美編]
11. ブラームス:間奏曲 ハ長調 作品119の3(4つの小品 作品119 第3曲)
12. リスト:愛の夢 S. 541の3(3つのノットゥルノ S. 541 第3曲)
13. ショパン:即興曲 第3番 変ト長調 作品51
14. ラフマニノフ:エレジー(幻想的小曲集 作品4 第1曲)
15. バッハ:羊は安らかに草を食み(カンタータ第208番「楽しき狩こそわが悦び」 第9曲)[エゴン・ペトリ編]
16. プーランク:バッハの名による即興的ワルツ ホ短調 FP.62
17. フォーレ:即興 作品84の5(8つの小品 作品84 第5曲)
18. メシアン:夢の触れられない音…(8つの前奏曲集 第5曲)
19. 武満徹:雨の樹素描 II-オリヴィエ・メシアンの追憶に-
20. コネッソン:F. K. ダンス(イニシャルズ・ダンシズ 第3曲)
21. ドビュッシー:夢想

<エピローグ>

22. 坂本龍一:20220302サラバンド

ピアノ:河村尚子

CD:ソニーミュージック SICC 19080

 日本を代表するピアニスト、河村尚子。2004年11月、日本デビューを飾って以来20年という節目となる今年、パーソナルな小品を集めたアルバムをリリース。アルバムタイトルは「20 -Twenty-」(トゥエンティ)。これまでの20年にわたる演奏活動の中で、河村が大きな影響を受け、大切なものとして愛蔵し、また折に触れて愛奏してきた宝物のようなミニアチュールともいうべき作品たちを盛り込んでいる。

 ピアノの河村尚子は、兵庫県西宮市出身。5歳で渡独。ハノーファー音楽演劇大学で学ぶ。同大学在学中の2006年「ミュンヘン国際コンクール」第2位、2007年「クララ・ハスキル国際コンクール」で優勝し一躍世界の脚光を浴びる。2009年度「出光音楽賞」、「新日鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞」、「日本ショパン協会賞」、2012年「芸術選奨新賞」、2013年「ホテルオークラ音楽賞」、2019年第32回「ミュージック・ペンクラブ音楽賞」クラシック部門独奏・独唱部門賞、2019年第12回「CDショップ大賞2020」クラシック賞 、2019年第51回「サントリー音楽賞」受賞。

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2024年8月26日

★フジコ・ヘミング 追悼盤~チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番/5つのラ・カンパネラ~


チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番

リスト:ラ・カンパネラ(パガニーニによる大練習曲 S.141の3)
         
         「奇跡のカンパネラ」より
         「永久への響き」より
         「哀愁のノクターン」より
         「カーネギー・ホール・ライヴ」より
         「フジ子・ヘミングの奇蹟」より

ピアノ:フジコ・ヘミング

指揮:オリヴァー・フォン・ドホナーニ

管弦楽:チェコ・ナショナル交響楽団

録音:チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番

     チェコ・ナショナル交響楽団が2001年10月~12月にかけて来日ツアーを行なった際、
     ソリストに起用されたフジ子の協奏曲演奏を3公演ライヴ録音(12月4日、6日&20日)
     したもので、今回初登場となる未発表音源。

   5つのラ・カンパネラ

       ①「奇蹟のカンパネラ」より(録音:1999年6月11日、ビクタースタジオ)
       ②「永久への響き」より(録音:1999年秋、東京オペラシティ・ライヴ)
       ③「憂愁のノクターン」より(録音:2000年3月25日、ビクタースタジオ)
       ④「カーネギー・ホール・ライヴ 2001」より
         (録音:2001年6月7日、カーネギー・ホール・ライヴ)
       ⑤「フジ子・ヘミングの奇蹟」より
        (南西ドイツ放送音源 ドイツSWR放送局(旧SDR2)録音:1988年6月)

CD:ビクターエンターテインメント VICC-77001

 このCDは、2001年にチェコ・ナショナル交響楽団との共演のライヴ録音で、2006年に発売を予定していたが、当時は条件がまとまらず、発売中止となっていたものを、このほど条件がまとまり、今回、フジコ・ヘミングの代名詞となっているリストの「ラ・カンパネラ S.141-3」の5つのヴァージョンと合わせて追悼盤として発売。

 ピアノのフジコ・ヘミング(1931年―2024年)は、日本人の母とロシア系スェーデン人を父としてベルリンに生まれる。10歳から、父の友人だったロシア生まれドイツ系ピアニストのレオニード・クロイツアー(1884年―1953年)に師事。青山学院高等部在学中、17歳でデビュー・コンサートを果たす。また、東京音楽学校(現・東京芸術大学)在学中には、「NHK毎日コンクール」「文化放送音楽賞」など多数受賞。28歳でドイツへ留学。ベルリン音楽学校を優秀な成績で卒業。その後長年にわたりヨーロッパに在住し、演奏家としてのキャリアを積む。1999年2月11日、フジコのピアニストとしての人生の軌跡を描いたNHKのドキュメント番組「フジコ〜あるピアニストの軌跡〜」が放映され、日本で大反響を巻き起こす。その後、発売されたデビューCD「奇蹟のカンパネラ」は、発売後3ヶ月で30万枚のセールスを記録し、異例の大ヒットとなった。第14回日本ゴールドディスク大賞の「クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー」他各賞を受賞。その後、1999年10月15日の東京オペラシティコンサートホールでの復活リサイタルを皮切りに、本格的な音楽活動を再開し、国内外で活躍した。2024年4月21日、死去。享年92歳。

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2024年8月22日

★アンネ=ゾフィー・ムターと小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラの共演


チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」 作品24 ポロネーズ①
         交響曲 第5番 ホ短調 作品64②
ベートーヴェン:ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス 第1番 ト長調 作品40③
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 作品28④

指揮:ディエゴ・マテウス(①~③)
小澤征爾(④)

ヴァイオリン:アンネ=ゾフィー・ムター(③、④)

管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)

録音:2018年12月、東京、サントリーホール

CD:ユニバーサルミュージック UCCG-41172

 このCDは、ドイツ・グラモフォン創立120周年を記念してサントリーホールで行われたガラ・コンサートのライヴ録音。サイトウ・キネン・オーケストラにとって初のサントリーホール公演でもあった。小澤征爾はっ当日最後のサン=サーンス作品を指揮。ムターとサイトウ・キネン・オーケストラも初共演となった記念すべき公演の記録。SKO結成40周年・齋藤秀雄没後50年記念盤。

 ヴァイオリンのアンネ=ゾフィ・ムター(1963年生れ)はドイツ、バーデン出身。13歳でカラヤンに招かれ、ベルリン・フィルと共演し、天才少女と言われるきっかけとなる。1977年ダニエル・バレンボイム指揮のイギリス室内管弦楽団と共演して、ザルツブルク音楽祭にデビューした。1980年ズービン・メータ指揮のニューヨーク・フィルと共演して、アメリカ・デビューを飾る。レパートリーは広く、ヴィヴァルディから現代音楽までを扱うが、とりわけ得意は新ウィーン楽派やバルトーク、アンリ・デュティユーなどの近現代の音楽。ヴァイオリンを弾きながらの弾き振りにも精力的な姿勢を見せる。これまでに、グラミー賞を4回受賞。2019年高松宮殿下記念世界文化賞受賞。

 指揮の小澤征爾(1935年―2024年)は、満洲国奉天市(中国瀋陽市)に生まれる。齋藤秀雄の指揮教室に入門。桐朋学園短期大学(現在の桐朋学園大学音楽学部)を卒業後、1959年貨物船で単身渡仏。1959年パリ滞在中に第9回「ブザンソン国際指揮者コンクール」第1位となったほか「カラヤン指揮者コンクール」第1位となり、指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンに師事。1960年「クーセヴィツキー賞」を受賞。指揮者のシャルル・ミュンシュ、レナード・バーンスタインに師事。1961年ニューヨーク・フィルハーモニック副指揮者に就任。1970年タングルウッド音楽祭の音楽監督に就任。同年サンフランシスコ交響楽団の音楽監督に就任。1973年にはボストン交響楽団の音楽監督に就任したが、以後30年近くにわたり同楽団の音楽監督を務めた。2002年日本人指揮者として初めて「ウィーン・フィルニューイヤーコンサート」を指揮。同年ウィーン国立歌劇場音楽監督に就任。2008年文化勲章を受章。2010年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団により、名誉団員の称号を贈呈される。2015年「ケネディ・センター名誉賞」を日本人として初の受賞。2016年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団により、名誉団員の称号を贈呈される。

 指揮のディエゴ・マテウスは、ベネズエラのエル・システマ(ベネズエラで行われている音楽教育プログラムの組織で、1975年に経済学者で音楽家のホセ・アントニオ・アブレウ博士によって設立)出身。クラウディオ・アバドの薫陶を受け、国際的なキャリアを築く。38歳でフェニーチェ劇場首席指揮者、モーツァルト管弦楽団及びメルボルン交響楽団の首席客演指揮者を歴任。日本ではセイジ・オザワ松本フェスティバル、NHK交響楽団等に登場。2018年に開催されたドイツ・グラモフォン120周年記念スペシャル・ガラ・コンサートでは、小澤征爾とともに指揮を務めた。2022年より、小澤征爾音楽塾初となる首席指揮者に就任。ミラノ・スカラ座管弦楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団などの名門に数多く客演し、ベルリン州立歌劇場、パリ国立歌劇場、トリノ王立歌劇場等にも登場。ベネズエラではシモン・ボリヴァル交響楽団の首席指揮者を務め、エル・システマのさらなる充実にも情熱を注いでいる。

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